大学院への進学を検討している人のなかには、毎年どれくらいの人が大学院へ進学しているのか気になる人も多いでしょう。
本記事では、文部科学省等の政府統計の調査データを引用しながら大学院への進学率を紹介します。大学院へ進学する魅力も紹介しているため、大学院への進学を検討している方はぜひ参考にしてください。
大学院の進学率
この項目では、文部科学省による最新のデータをもとに、大学院への進学率を紹介します。
学部卒業者の大学院進学率
令和5(2023)年度における学部卒業者の大学院進学率は「12.5%」で、前年度より0.1ポイント上昇しました。約8人に1人が大学院へ進学していることが分かります。
平成21(2009)年度までは大学院進学率は上昇傾向にありましたが、平成22(2010)年以降は徐々に低下し、近年は横ばいの傾向にあります。
修士課程修了者の進学率
令和5(2023)年度の修士(博士前期)課程修了者の大学院等への進学率は「10.1%」であり、前年度より0.2ポイント低下しました。
修了者の進学率は、平成22(2010)年の「12.4%」から減少傾向でしたが、平成28(2016)年の進学率「9.8%」からは、ほぼ横ばいの状態が続いています。
一方、修了者に占める就職者の割合は「77.4%(前年度より1.3ポイント上昇)」となっています。
参考:文部科学省|令和2年度学校基本調査 結果の概要
参考:文部科学省|令和5年度基本調査 結果の概要
社会人の大学院進学率
文部科学省の平成29(2017)年度のデータによると、修士課程・博士課程に進学した社会人の人数は、以下の通りです。
修士課程の進学者の合計 | 修士課程に進学した社会人の人数 | 修士課程に進学した社会人の割合 |
73,441 | 7,842 | 10.67% |
博士課程の進学者の合計 | 博士課程に進学した社会人の人数 | 博士課程に進学した社会人の割合 |
14,766 | 6111 | 41.38% |
修士課程では全体の「約10%」が社会人入学者です。
一方の博士課程では、全体の「約41%」が社会人入学者です。
これらのデータから、修士課程では学部を卒業してすぐに入学する人が多い傾向にありますが、博士課程では半数弱が社会人からの入学であることが分かります。
【分野別】大学院の進学率
ここでは、分野別で大学院生の進学率を紹介します。
修士課程の進学率
以下の表は、令和5年度学校基本調査をもとに区分別の大学院への進学率を算出したものです。
区分 | 大学を
卒業した人数(人) |
大学院へ進学した人数(人) | 大学院への進学率(%) |
人文科学 | 82,506 | 3,693 | 4.48% |
社会科学 | 191,248 | 5,382 | 2.81% |
理学 | 18,189 | 8,066 | 44.35% |
工学 | 87,830 | 33,949 | 38.65% |
農学 | 16,919 | 4,806 | 28.41% |
保健 | 47,811 | 3,690 | 7.72% |
商船 | 116 | 54 | 46.55% |
家政 | 17,324 | 493 | 2.85% |
教育 | 44,828 | 2,158 | 4.81% |
芸術 | 16,964 | 1,574 | 9.28% |
その他 | 44,246 | 4,147 | 9.37% |
合計 | 567,981 | 68,012 | 11.9% |
参考:令和5年度学校基本調査
区分別に進学率を見ると、最も高かったのは理学の44.35%です。次いで高かったのは、工学の38.65%であり、理系のほうが文系よりも大学院に進学する傾向にあることが分かります。
博士課程の進学率
以下の表は、文部科学省による令和5年度学校基本調査をもとに、区分別の博士課程への進学率を算出したものです。
区分 | 修士修了者(人) | 博士課程へ進学した人数(人) | 博士課程への進学率(%) |
人文科学 | 3,814 | 670 | 17.57% |
社会科学 | 6,872 | 531 | 7.73% |
理学 | 6,217 | 1053 | 16.94% |
工学 | 32,099 | 2019 | 6.29% |
農学 | 4,036 | 407 | 10.08% |
保健 | 5,234 | 816 | 15.59% |
商船 | 30 | 3 | 10% |
家政 | 366 | 38 | 10.38% |
教育 | 2,076 | 195 | 9.39% |
芸術 | 2,187 | 150 | 6.86% |
その他 | 11,327 | 1328 | 11.72% |
合計 | 74,258 | 7,210 | 9.71% |
大学院への進学率を文理別で見ると、理系の学生の方が文系の学生よりもかなり高い傾向にあります。一方で、博士課程に進む割合となると、文系と理系で大きな差はなくなっています。
国立・公立・私立の大学・大学院の学生数
次に、国立・公立・私立に分けて大学院の学生数を紹介します。
大学学部の学生数と、国立・公立・私立の大学院ごとの学生数は以下の通りです。
全体(人) | 国立(人) | 公立(人) | 私立(人) | |
学部 | 2,632,775 | 431,207 | 145,683 | 2,055,885 |
大学院全体 | 265,977 | 154,706 | 17,796 | 93,475 |
修士課程 | 168,706 | 94,724 | 11,525 | 62,457 |
博士課程 | 75,841 | 51,478 | 5,488 | 18,875 |
専門職大学院 | 21,430 | 8,504 | 783 | 12,143 |
令和5(2023)年度における全体の学部生は「2,632,775人」で前年度より約600人増加し、過去最多となりました。一方、大学院生全体の数は「265,977人」で、前年度より約4,200人増加しています。これらのデータから、大学院生は学部生の1/10程度であると言えます。
また、国立・公立・私立のうち最も大学院生の人数が多いのは「国立」であり、国立へ進学する学部生が多いことが分かります。
男女別の大学院進学率
文部科学省による令和5年度学校基本調査によると、大学院へ進学した男女別の人数は以下の通りです。
大学を卒業した人数(人) | 大学院へ進学した人数(人) | 大学院への進学率 | |
男性 | 302,337 | 48,481 | 16.04% |
女性 | 265,644 | 19,531 | 7.35% |
合計 | 567,981 | 68,012 | 11.97% |
参考:令和5年度学校基本調査をもとに作成
令和5(2023)年度における大学院への男女別進学率は、男性16.04%、女性7.35%となっています。
大学院へ進学する魅力
ここからは、大学院への進学を検討している人向けに、大学院の魅力を2つ紹介します。
学びたいこと・研究したいことにとことん向き合える
大学院では、自分が学びたい、あるいは、研究したいと考えている分野にとことん向き合えます。高い専門性を持つ教員と、整備された研究環境のなかで自分の研究に没頭できるでしょう。自身の研究や学びを深めたい人には適した環境だと言えます。
高い専門性を身につけられる
高い専門性を身につけられるのも大学院ならではのよさです。大学院で身につけた専門性は、社会に出てからも高く評価されます。例えば、大学教員や研究機関の研究員、国連やOECD(経済協力開発機構)、WTO(世界貿易機関)といった国際公務員などは、高い外国語能力とともに専門領域に則した修士号以上の高い学歴が求められます。修士号・博士号を取得していれば、専門性が求められる職にも就きやすくなるでしょう。
大学院に進学するメリットについては、以下の記事で詳しく説明しています。
https://graduate.chuo-u.ac.jp/media/index.php/2022/04/28/graduate-school-merit/
大学院の選び方
大学院によって研究環境や学費は大きく異なります。進学してから後悔しないために、以下のポイントを踏まえて大学院を選ぶことがおすすめです。
- 何を研究できるかを調べておく
- 指導を受ける教員を確認する
- 学費を調べておく
- 入試方式を調べておく
カリキュラムは大学によって特色があり、研究内容も大きく異なります。指導を受ける教員によって自身の研究が左右されることもあるため、研究できる内容と教員については事前に確認することが重要です。さらに、大学院によって修了までにかかる学費に差があるため、総額いくらになるのか事前に把握し、予算の範囲内に収まるところを選びましょう。
以下の記事で大学院の選び方について詳しく解説しています。自分に合った大学院選びについて興味がある方は、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ:学部卒業者の約8人に1人が大学院へ進学している
文部科学省の「令和5年度学校基本統計」によると、学部卒業者の約8人に1人が大学院へ進学しています。今では大学院への進学は珍しいものではなく、学びたいことや研究したいことがある場合には進学を検討することがおすすめです。
自分の将来も見据えながら、進学の目的や深めたい分野を明確にし、大学院への進学を検討しましょう。中央大学大学院に興味がある方は、以下から資料をお問い合わせください。
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