進路・資格

大学院から国家公務員になる魅力は?目指せるキャリアや入試情報を解説

大学院を修了した後の進路は、研究職や一般企業などさまざまですが、国家公務員もその1つです。実際に大学院から国家公務員になる人の割合は高い傾向にあります。ここでは大学院から国家公務員になる割合や国家公務員の魅力、大学院を修了した人が受験できる国家公務員入試について説明します。

大学院から国家公務員になる割合

大学院から国家公務員を目指す人は多く、試験の合格率も高いです。2022年度国家公務員採用総合職試験の合格者人数は、以下の通りです。

院卒者試験
申込者数:1,656名

合格者数:618名

合格率:37.32%

大卒程度者試験
申込者数:13,674名

合格者数:1,255名

合格率:9.18%

大学院修了者は申込者のおよそ3人に1人が国家公務員試験に合格しており、学部卒の者と比べて合格率が高いことがわかります。大学院では学部に比べ高度な専門性を身につけることができ、大学院での研究を通じて得た専門知識やスキルを有していることが大きな要因だと考えられます。

参考:2022年度総合職試験(院卒者試験)学歴別申込者数・合格者数

大学院から国家公務員に就職するメリット

大学院修了後に国家公務員に就職するメリットは、主に以下の2点です。

  • 大学院で身につけた専門性を活かせる
  • 社会へ大きな影響を与える業務を担える

大学院で身につけた専門性を活かせる

大学院で身につけた専門性を活かせる点もメリットです。大学院では、自身の専門分野について深く学び、研究するため、特定の分野に関する専門知識・技能を高めることができます。国家公務員の総合職は、行政、デジタル、工学、法律などさまざまな区分に分かれており、大学院で自分が研究した分野の知識や身につけたノウハウを業務に活かしやすいです。

社会へ大きな影響を与える業務を担える

国家公務員は、世の中に大きな影響を与えるような規模の大きな仕事ができるのが魅力です。「社会全体をよりよくしたい」といった意思がある人がやりがいを持って働けます。大学院で身につけた専門性を駆使しながら、社会や国民のためになる仕事ができるでしょう。また、業務を通じて幅広い知識や経験を得られたり、充実した研修・セミナーを受けたりするなかで自身の成長を実感できるのも魅力です。

大学院を修了した人が受験できる国家公務員入試

2023年1月時点で、大学院を修了した人が国家公務員を受験できるのは以下2つの職です。

  • 総合職
  • 総合職(法務区分) ※司法試験合格者を対象としたもの

※以下、受験資格や試験内容は2023年1月時点の情報です。

総合職

総合職は、政策の企画立案等の高度の知識、技術又は経験を必要とする業務に従事する係員です。

受験資格

2023年1月時点での受験資格は、次の要件を満たす1992(平成4)年4月2日以降に生まれた者に与えられます。

  1. 大学院修士課程又は専門職大学院の課程を修了した者及び2023(令和5)年3月までに大学院修士課程又は専門職大学院の課程を修了する見込みの者
  2. 人事院が1に掲げる者と同等の資格があると認める者

試験内容

基礎能力試験と専門試験(多肢選択式と記述式)を受験します。基礎能力試験は数的処理や文章理解、一般常識などの問題が出されます。専門試験は下記の区分から1つ選んで受験します。

  • 行政
  • 人間科学
  • デジタル
  • 工学
  • 数理科学・物理・地球科学
  • 化学・生物・薬学
  • 農業科学・水産
  • 農業農村工学
  • 森林・自然環境

総合職(法務区分)

総合職(法務区分)は、政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務をその職務とする係員のうち、主として法曹に必要な学識及び能力を必要とする業務に従事する係員です。

受験資格

2023年1月時点での受験資格は、次の要件を満たす1992(平成4)年4月2日以降に生まれた者に与えられます。

  1. 法科大学院の課程を修了した者であって司法試験に合格した者
  2. 司法試験予備試験に合格した者であって司法試験に合格した者

試験内容

1次試験の基礎能力試験と、2次試験の政策課題討議試験、人物試験、英語試験を受験します。基礎能力試験は数的処理や文章理解、一般常識などの問題が出されます。2次試験の詳細は以下の通りです。

政策課題討議試験 課題に対するグループ討議によるプレゼンテーション能力やコミュニケーション力などについての試験
人物試験 人柄、対人的能力などについての個別面接
英語試験 外部英語試験(TOEFL(iBT)、TOEIC Listening&Reading Test(公開テストに限る。)、IELTS、実用英語技能検定)を活用し、スコア等に応じて総得点に15 点又は 25 点を加算

採用までの流れ

2023年1月時点での国家公務員の総合職の採用は、以下の流れで進められます。

▼総合職

3月 申込受付開始
4月 一次試験
5月 一次試験合格発表

二次試験(筆記試験)

6月 二次試験(政策課題討議試験・人物試験)

最終合格者発表

7月
8月
9月
10月 採用内定

 

▼総合職(法務区分)

9月 申込受付開始
10月 一次試験

一次試験合格発表

二次試験(政策課題討議試験・人物試験)

最終合格者発表

採用内定

詳しい日程は人事院のホームページに記載されています。以下のサイトを参考にしてください。

参考:国家公務員採用総合職試験(院卒者試験)

参考:国家公務員採用総合職試験(院卒者試験)法務区分

国家公務員採用後の就職先やキャリア

国家公務員に採用された後は、財務省や法務省、経済産業省などの省庁や、裁判所や国会などの国家機関に所属して各部門で仕事を行います。また会計検査院、公正取引委員会、造幣局、国立印刷局などに配属されるケースもあります。

国家公務員と一口に言っても、採用された省庁や区分によって仕事内容は変わります。ただ、社会の奉仕者として連携しながら政策を前に進めていくというミッションは、どの配属先でも変わりません。

大学院から国家公務員を目指す際のポイント

大学院から国家公務員を目指す際のポイントは、以下の2点です。

  • 早めから筆記試験対策をする
  • 簡潔に話す練習をしておく

早めから筆記試験対策をする

国家公務員の総合職を受けるにあたり、まず基礎能力試験と専門試験の対策を入念にしておきましょう。大学院の研究と両立する必要があるため、なるべく早めから対策をすることが肝心です。

基礎能力試験は数的処理や文章理解、一般常識などの問題が出されるので、日頃から基礎学力をつけておくとよいでしょう。専門試験では行政、人間科学、デジタルなどのさまざまな区分に分かれて受けることになります。受験する分野によって就職後活躍できる領域が変わるので、早い段階でどの区分の国家公務員になりたいかを考え、関連した学問を学んでおくとよいでしょう。

簡潔に話す練習をしておく

試験では、学力だけでなく、政策課題討議試験・人物試験を通して本人の人柄なども見られます。面接は受験生1人に対し、面接官3〜5名程度で実施するのが基本です。結論ファーストで簡潔に話せるよう、日頃から意識してみてください。

まとめ:国家公務員を目指すならまずは情報収集をしよう

大学院修了者向けの国家公務員試験は学部卒向けや高校卒向けの試験とは異なり、相応の経験や知識をアピールする必要があります。大学院に進学すると研究活動で多忙になることが多いため、必要な情報を収集しながら受験対策をすすめるようにしましょう。

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