大学院進学

大学院卒業(修了)時の年齢は?修了までの期間や年齢が与える就職への影響を解説

大学の学部では課程を終えることを「卒業」と言いますが、大学院では「修了」と言います。詳しくは本文で説明しますが、大学院修了時の年齢は、最短で修士(博士前期)課程で24歳、博士(博士後期)課程で27歳が一般的です。

しかし、修了時の年齢は本人の単位取得状況や研究の進度、研究科の修了要件によって異なります。今回は、大学院修了時の年齢や修了までにかかる年数、年齢が就職に与える影響を紹介します。

大学院を修了するときの年齢

一般的に、修士課程(博士前期課程)の標準修業年限(原則として修了までに必要な在学年数)は2年、博士課程(博士後期課程)の標準修業年限は3年です。

浪人や留年などをせず大学(学部)を卒業して大学院へ進学し、休学や在学延長をせずに大学院を修了した場合、修了時の年齢は以下の通りです。

高校卒業 18歳
大学卒業 22歳
修士課程修了 24歳
博士課程修了 27歳

いわゆる「文系」「理系」といった研究科の違いで修了時の年数に差はありません。ただし、医学部・薬学部などに多い6年制大学の場合は、学部の卒業年齢が一般的な4年制大学よりも遅くなります。

大学修了にかかる年数を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

大学院修了までにかかる年数は何年か解説大学院進学を検討している方の中には、何年通う必要があるのか分からない人もいるでしょう。大学院の年数は、将来の希望進路や研究分野、進学する...

大学院の修了には何年かかるのか

大学院を修了するまでにかかる期間は、人によって異なります。ここでは、在学可能期間と平均的な修了までの期間について見ていきましょう。

修士課程・博士課程の在学可能期間

大学院では、一度入学すれば何年でも通い続けられるわけではなく、在学可能期間が定められている場合がほとんどです。多くの大学院で定められている在学可能期間は、修士課程で4年、博士課程は6年(標準修業年限の2倍に当たる数字)です。この年数は大学院や研究科によって異なり、より長い場合もあります。

また、休学期間を在学期間にカウントしないケースもあります。例えば、博士課程で在学可能な期間が6年として、在学中に休学できる期間が3年間の場合、博士課程には最大で9年在籍することが可能になります。

修士課程・博士課程の平均的な修了年数

修士課程・博士課程の平均的な修了年数を、文部科学省の「令和4年度 学校基本調査」をもとに見ていきます。

「修士課程の専攻分野別 入学年度別 卒業者数」によると、令和4年度の修士課程修了者数はトータル71,766人です。そのうち、最低修業年数で修了しているのが62,089人です。ここから、全体の約86.5%が最低修業年数、つまり標準修業年限で修了していることがわかります。

次に、「博士課程の専攻分野別 入学年度別 卒業者数」によると、令和4年度の博士課程修了者数はトータル10,413人でした。そのうち、修了した年数ごとの人数と割合は以下の通りです。

人数 割合
最低修業年数 4,160人 約40%
1年経過 2,879人 約27.6%
2年経過 1,031人 約24.7%
3年経過 903人 約8.7%
4年以上超過 1,144人 約11%

このように、修士課程に比べると、博士課程の方が標準修業年限よりも長く在籍する人が多いことがわかります。

出典:e-Stat「令和4年度 学校基本調査」

修了が早まる場合もある

中には、標準修業年限よりも短い期間で修了できる場合もあります。修士課程や博士課程では、特定の条件を満たした場合に標準修業年限より短い期間で学位を取得できます。

例えば、中央大学大学院の博士前期(修士)課程の場合、優れた研究業績を上げた人については、1年の在学期間で修了することも可能です。

ただし、これは特別なケースです。修士課程は標準修業年限の2年間で修了する人が大半であり、博士課程では研究や論文執筆の進捗状況により修了までの期間が延びる人も多いです。

修了時の年齢は就活に影響するか

「大学院修了時の年齢が高いと、就活によくない影響があるのでは?」と心配する方もいるでしょう。ここでは、修了時の年齢が就活に与える影響を職種別に紹介します。

地方公務員の場合

国家公務員や県庁職員などの地方公務員の多くは受験要件として上限年齢を設けていて、30歳前後が一般的です。施設や自治体によって違うので、修了後に受験したい場合は前もって確認しておくとよいでしょう。

専門職や技術職の場合

専門職や技術職では、採用時の年齢条件が緩和されています。例えば、ある省庁の専門職員は40歳まで応募可能であるとしています。修了後に就きたい職業の年齢制限の有無を確認しておきましょう。

研究職の場合

研究職は、ほかの職種と比べて年齢制限を設けている求人は比較的少ないです。年齢というよりは、大学院を通して得たノウハウや知識、研究業績が重要視されます。。

このように大学院修了後の就職では、大学院で専門知識を身につければ、年齢に関係なく評価される傾向があります。年齢が上になればなるほど就職が難しくなるわけではありません。進路により応募要件が異なりますので、自身が進みたい進路の情報は早い段階から収集するようにしましょう。

大学院修了者は、新卒・第二新卒採用の対象になる?

大学卒業よりも年齢が高くなる大学院修了者は、企業の新卒やいわゆる第二新卒採用において対象となるのか、疑問に思っている方も多いと思います。。

大学院修了者も、大学卒業と同様に新卒として扱われます。また、基本的には修了から3年以内であれば第二新卒として扱われます。

ただし、第二新卒に明確な定義はないため、企業によって定義が異なる可能性がある点には注意が必要です。基本的には学校(高校、専門学校、短大、高専、大学、大学院)卒業後、おおむね3年以内の者が第二新卒に該当する、とされていますが、募集要項をよく確認する必要があります。

まとめ:大学院修了後を見据えて進学するか検討しよう

本記事では、大学院修了時の年齢や修了までにかかる年数、年齢が就職に与える影響を解説しました。

大学院を修了する年齢は、浪人や留年、休学などがなければ、修士課程修了で24歳、博士課程修了で27歳です。ただし、高度な学問を学ぶ大学院では、修士課程や博士課程で休学や在学延長することも想定しておくとよいでしょう。