受験準備

大学院入試の面接で聞かれる質問は?評価されるポイントや事前対策を徹底解説

大学院入試では、筆記試験(筆答試験)に加えて面接(口述試験)が行われる場合がほとんどです。しかし、筆記試験に対する準備はきちんとしているものの、面接に関する情報は少なく、具体的な面接対策ができていない人も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、大学院入試での面接対策について詳しく解説します。面接の概要やよく聞かれる質問内容、事前にやるべき面接対策などを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

大学院入試における面接の概要

大学院入試と学部入試の大きな違いは、面接の有無です。

学部の一般入試では、筆記試験のみで面接は課せられないケースが多いです。一方、大学院入試では、ほとんどのケースで筆記試験と面接試験が両方課せられます。そのため、大学院入試に向けた準備では、面接対策が必須です。

まずは、大学院入試の面接を受けるにあたり、知っておくべき面接試験の概要を解説します。

大学院入試における面接試験の実施タイミング

面接試験を実施するタイミングには、大きく2つのパターンがあります。

1つは、受験者全員に筆記試験と面接試験を実施するパターンです。この場合、筆記試験と面接試験は同日に行われることが多いです。

もう1つは、筆記試験の合格者のみに行うパターンです。この場合、筆記試験の後日に、筆記試験合格者に対して面接試験が実施されます。

学力評価・面接でのパフォーマンスの両方が重視される

大学院入試では、面接試験と同じ、またはそれ以上に筆記試験の点数・学力が重要となります。逆に言えば、筆記試験の成績が振るわない状態では、面接でアピールをしても合格につながるケースは少ないということです。あくまで筆記試験を前提とし、学力の評価がベースであることを理解しておいてください。

面接時間は30分程度

大学院入試の面接時間は30分程度が多いです。大学院や入試方式によっては60分ほど実施することもあります。

面接は、複数の面接官に対して受験生が1人で受け答えをする形式です。面接時間の多くを、志望動機と研究計画(大学院に入学してから学びたい・研究したいテーマ)に関する質疑応答が占めます。

複数の教員による面接を行うケースも

面接では、複数の面接官(教員)が真剣に問いを投げかけるため、緊張感溢れる面接になることが考えられます。志望動機などの事前に予想できる質問はあらかじめ考えをまとめておき、当日は落ち着いて受け答えできるように準備しましょう。

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大学院の面接で面接官が見ているポイント

大学院の面接では、面接官は学生のどのような点を見ているのでしょうか。ここでは、面接で重要な3つのポイントを解説します。

進学への熱意があるか

面接では、大学院進学への熱意が本当にあるか確認されます。大学院では、学生本人が主体性を持ち、自ら研究課題に取り組んでいく姿勢が重要です。大学(学部)のように、教員からただ知識を教えてもらうような受動的な学習ではありません。

そのため、これから2年以上かけて主体的に勉強を深め、研究に励む熱意・意欲・精神力があることをアピールする必要があるでしょう。

研究に必要な「論理的思考力」があるか

面接では、大学院での研究に重要な能力の1つ「論理的思考」が備わっているかどうかをチェックされます。

大学院という研究教育機関は、研究教育を通じて研究者や高度な専門知識を身に付けた職業人を養成することを目的としているため、研究者に欠かせない論理的思考力が備わっているかが重視されます。面接官の質問に対して、論理立てて答えられるよう練習を積んでおきましょう。

指導教授とミスマッチしていないか

志願者の研究計画や志望動機が、指導を受ける教員の専門分野とミスマッチしていないかを確認されます。志願者が取り組みたい研究内容と、指導教授が専門とする分野が合致していなければ、研究をスムーズに進められません。あらかじめ「なぜこの教員の下で研究したいのか」を明確に説明できるようにしておきましょう。

大学院の面接の流れ

大学院の面接の流れを紹介します。

自己紹介

始めに行うのは自己紹介です。面接官と初めて言葉を交わし、第一印象を左右する時間であるため、内容が伝わりやすくなるようハキハキと話すようにしましょう。

大学院の面接は時間が限られているので、自己紹介はできるだけ簡潔に1分以内に収めるのが望ましいです。名前、受験番号、現在の所属(どこの大学のどの教員のゼミに入っているかなど)に加え、これまでどのような勉強をしてきたか添えて手短に紹介しましょう。

質問

質疑応答は、面接で最も重要な時間です。必ず聞かれるのが、志望動機と研究計画の2つです。なぜ大学院に進学したいのか、進学して何を研究したいのかを答えられるようにしましょう。その後の質問も、論理的にかつ簡潔に答えることを意識してください。

面接で聞かれる質問内容

ここでは、大学院入試の面接で聞かれることが多い、主な質問内容と回答のポイントを紹介します。

  • 自己紹介
  • この大学院を選んだ理由
  • 入学後の研究計画
  • 卒業論文(卒業研究)の内容
  • 大学院修了後の進路
  • 研究テーマに対する専門知識

自己紹介

まずは、名前、所属している大学、学部、研究科や、現在研究室で何を研究しているかを簡潔に紹介します。

志望理由とセットで聞かれる場合も多いです。

この大学院を選んだ理由

大学院・研究科(専攻)・希望指導教員を選んだ理由について詳しく聞かれます。それぞれ簡潔に説明できるようにしておきましょう。

【よく聞かれる項目】
・研究を通して何を学びたいのか、身に付けたいのか
・同じ研究分野を専門とする教員の中から、なぜその教員の指導を希望するのか
・数ある大学院のなかで、なぜこの大学院に進学するのか

特に、現在の在籍大学と異なる大学院に進学する場合は、なぜ外部の大学院を選んだのか、わかりやすく説明することが大切です。研究室訪問や指導を希望する教員との相談内容などをふまえて、説得力のある回答を用意しましょう。

入学後の研究計画

大学院入学後の研究計画も具体的に質問される項目の一つです。先行研究をよく調べて自身の研究計画を明確なものにしておくことが大切です。研究テーマや研究手法についての理解を深めるとともに、博士前期課程であれば限られた期間で修士論文としてまとめられる研究計画であるか(実現可能性があるか)という点も重要なポイントとなります。

卒業論文(卒業研究)の内容

大学の学部で興味を持ったこと・学んできたことついて質問されます。

特にゼミに入っている場合には、卒業論文・卒業研究の内容を質問されるケースが多いです。研究テーマや研究の目的、方法について、詳細に質問されるでしょう。自分が取り組む研究の意義を面接官に分かってもらうために、研究から得られる成果が社会的にどう役立つのかやどのような意味があるのかを論理的に説明できるようにしておいてください。

大学院修了後の進路

院試の面接では、大学院進学後だけでなく修了後の希望進路まで聞かれます。そのため、大学院での研究を通して得た知識・技術を、どのように自分のキャリアに活かすのかを考えておくべきでしょう。

また、博士前期課程修了後の進路(博士後期課程へ進学するのか、または就職するのか)も重要です。具体的には、博士号取得を目指して研究を発展させるのか、身に付けた能力を活かせる職に就くのかなど、現在の自分の考えをまとめておきましょう。

研究テーマに対する専門知識

自分が志望する研究テーマの専門知識についても質問されます。面接官は、この質問を通じて、専門分野に対して精通しているか、研究を進められるだけの基礎的な素養が備わっているかを確かめます。

事前に研究内容に対する知識をつけておくことはもちろん、志望する研究テーマに関する論文や志望指導教員の論文を少なくとも数本は読んでおくとよいでしょう。

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大学院面接に向けての事前対策

大学院入試の面接に向けて、事前に準備すべきことを解説します。

  • 自己分析を行い、過去の自分と今後について整理する
  • 研究内容を整理し理解しておく
  • 研究計画書を作成して説明できるようにする
  • 模擬面接で回答の練習をする

1.自己分析を行い、過去の自分と今後について整理する

面接で説得力のある回答をするためには、自己分析が必要です。

自己分析とは、自分の過去から現在の経験を振り返り、イベントごとの感情や意思決定の根拠、自身の考えなどを整理し、自分の性格や価値観、強み・弱みなどを理解することです。

たとえば、大学で自分が興味を持ってきたことや、熱心に取り組んだこと、受験時にどのような視点で志望校を選んだか、などを整理することで、自身の興味関心や意思決定の軸がわかります。

その上で、大学院に進学したい理由や大学院で研究したいこと、将来のキャリアパスなどを整理することで、自身の過去のエピソードに基づいた、説得力のある回答を用意できます。大学院進学後に一貫性のある見通しを立てることにも役立つでしょう。

2.研究内容を理解しておく

研究計画の内容は、論理立てて話せるよう練習しておきましょう。研究者でもある教員が面接官となるため、雰囲気に呑み込まれて緊張してしまう人も少なくありません。緊張感の漂う場でも慌てずに話せるよう、研究内容に関する質問を事前に考えておきましょう。

研究内容を理解するためには、関連する文献を読んでおくことが大切です。面接によっては、最近読んだ文献について聞かれることがあります。文献を読むことは、今後の研究活動においても役立つため、できる限り目を通しておきましょう。

3.研究計画書を作成して説明できるようにする

研究計画書は、大学院入試にあたって提出が必要な書類の1つであり、自分の研究内容や今後研究したいこと、達成したい研究目的などをまとめたものです。自分の研究について、明確に伝えるために作成します。

面接では、研究計画書の内容が聞かれるケースがほとんどです。研究計画書を作成し、見返しながら、内容をわかりやすく説明できるようにしましょう。研究計画書の内容をもとに、志望理由や今後研究したいことをまとめると、一貫性のある回答になります。

4.模擬面接で回答の練習をする

回答内容を事前に考えるだけでなく、実際に回答する練習をすることも大切です。模擬面接を行い、言葉につまってうまく説明できなかったところや、論理的に説明できなかったところなどを重点的に練習しましょう。

ただし、面接官との円滑なコミュニケーションが成立することが必要ですので、話すことを丸暗記するのではなく、質問の内容に応じて適切に回答できる柔軟性も必要です。

模擬面接は、1人で行えます。スマートフォンで自分の姿を録画し、映像を見返しながら、改善すべき点はないか、第三者が聞いてわかりやすい回答になっているかを確認しましょう。

先輩や指導教員に協力してもらうのも望ましいです。論理的に一貫性がある回答であるかを客観的に評価してもらえ、フィードバックをもらえます。

面接での受け答えではPREP法を使うのがおすすめ

大学院入試でわかりやすく受け答えするためには、PREP法を使うとよいでしょう。

PREP法は、もともとわかりやすい文章を書くための方法であり、以下の順番で文章をまとめると、わかりやすくなるとされています。

  • Point(結論)
  • Reason(理由)
  • Example(具体例)
  • Point(結論)

PREP法に則って説明を組み立てることで、受け答えもわかりやすくなります。面接では、緊張して話題が散らかってしまいがちですが、PREP法を意識して、論理的かつ簡潔にしましょう。

まとめ:大学院の面接対策で入学試験に備えよう

大学院入試の面接では、これから長期にわたって研究に取り組むための基礎力や研究意欲があるかが確認されます。だからこそ、限られた時間内で、密度の高い質問がされることを想定しておくべきでしょう。事前に十分な準備をした上で、面接に臨むようにしてください。