大学院進学

教育訓練給付金を大学院での学び直しに活用しよう!支給対象者や申請方法を解説

教育訓練給付金とは、社会人の能力開発やキャリア形成などに役立つ指定の教育訓練を修了した際、支給される給付金です。大学院での学び直しにも活用でき、経済的な支援を受けながら、スキルアップや資格取得を目指せます。

今回は、教育訓練給付制度の利用を検討している方に向けて、制度の概要や支給対象、必要な申請手続きなどを解説します。教育訓練給付制度を活用するメリットや注意点なども紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

なお、教育訓練給付制度の受付方法や具体的な手続きは、実施機関(大学院)によって異なります。制度の利用を考えている場合は、事前に実施機関のウェブサイトで調べたり、問い合わせをしたりして、必要な情報を収集しておきましょう。

社会人が利用できる教育訓練給付金とは

教育訓練給付金とは、厚生労働省が実施する「教育訓練給付制度」によって、対象者に支給される給付金のことです。

教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給される制度です。働く方の能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的としています。

教育訓練の種類・支給額

教育訓練には、以下の3種類があります。

教育訓練の種類 対象 支給額
専門実践教育訓練 労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練 受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6か月ごとに支給される(※)
特定一般教育訓練 労働者の速やかな再就職や、早期のキャリア形成に資する教育訓練 受講費用の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給される
一般教育訓練 雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練 受講費用の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給される

※資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加支給されます。

参考:厚生労働省「教育訓練給付制度」

大学院の講座も教育訓練給付金制度の対象となる

大学院では、正規生としての課程だけでなく、科目履修や履修証明プログラムも、教育訓練給付金制度の対象となるのが特徴です。現在社会人として働いている方が、スキルアップや学び直しを目的に大学院の授業を受講する場合、教育訓練給付金制度を利用できる可能性があります。

具体的には、以下のような講座・プログラムが対象です。大学院によって、対象となるプログラムは異なります。出願や申請にあたっては、自身が利用を希望する制度が対象に該当するかどうかを必ず確認しましょう。

<職業実践専門課程>

  • 情報
  • ビジネス
  • デザイン
  • 経理・簿記
  • 商業実務
  • 文化
  • 工業
  • 農業
  • 土木・建築
  • 電気・電子
  • 医療
  • スポーツ など

<専門職学位課程>

  • MBA
  • 教職大学院
  • 法科大学院 など

<職業実践力育成プログラム>

  • 工学・工業
  • 社会科学
  • 保健 など

なお、教育訓練給付の対象として厚生労働大臣の指定を受けている講座は、以下より検索できます。

教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム

教育訓練給付金を受給するための手続き

ここでは、大学院での学び直しや資格取得に活用できる「一般教育訓練給付制度」について、支給対象者と必要な手続きを解説します。

支給対象者

一般教育訓練給付金の支給対象者は、以下のいずれかに該当し、厚生労働大臣が指定する訓練を修了する見込み、あるいは修了した方です。

  • 雇用保険の被保険者である:受講開始日に雇用保険の被保険者であり、支給要件期間が3年以上ある方
  • 雇用保険の被保険者であった方:受講開始日に雇用保険の被保険者でない方のうち、被保険者資格を喪失した日以降、受講開始日までが1年以内であり、かつ支給要件期間が3年以上ある方

なお、初めて一般教育訓練給付金を受給する場合は、支給要件期間が1年以上であれば受給可能です。支給対象となるかは、ハローワークに確認しましょう。

受講開始日と支給要件期間とは

受講開始日と支給要件期間は間違って認識しやすいため、正しく理解することが大切です。

受講開始日とは、通学制の場合は開講日、通信制の場合は、教材などの発送日のことを指します。いずれも、大学院などの指定教育訓練実施者が証明する日です。必ずしも、初回出席日が受講開始日となるとは限らない点に注意が必要です。

支給要件期間とは、受講開始日までの間に、同一の事業主に被保険者として雇用された期間のことです。なお、被保険者資格を取得する前にほかの事業所に雇用されており、被保険者でなかった空白の期間が1年以内である場合は、その期間も通算します。例えば、1社目を1年で退職し、退職から半年後に2社目に転職、現在2年が経過している、という場合、支給要件期間は3年です。

支給に必要な申請手続き

一般教育訓練給付金の支給を受けるために必要な手続きは、申請者が自ら行わなければなりません。

教育訓練の受講修了日の翌日から起算して1か月以内に、申請者の住所を管轄するハローワークに、以下の書類を提出しましょう。

  • 教育訓練給付金支給申請書
  • 教育訓練修了証明書
  • 領収書
  • キャリアコンサルティングの費用に係る領収書、キャリアコンサルティングの記録、キャリアコンサルティング実施証明書(キャリアコンサルティングの費用の支給を申請する場合に必要)
  • 本人・住所確認書類及び個人番号(マイナンバー)確認書類
  • 返還金明細書(領収書やクレジット契約証明書が発行された後で、教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人に対して還付される・還付された場合に必要)
  • 教育訓練経費等確認書
  • 教育訓練給付適用対象期間延長申請書(適用対象期間の延長措置を受ける場合に必要)

参考:ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」

大学院での学び直しに教育訓練給付金を活用するメリット

教育訓練給付制度は、給付を受けながらスキルアップを目指せる、メリットの多い制度です。

大学院に進学したり、科目等履修生制度を活用して特定の講座を受講したりする場合は、決して安くはない費用がかかります。教育訓練給付金を活用すれば、受講に必要な費用の一部を支給してもらえるため、経済的にメリットが大きいです。

また、講座にきちんと出席し、講座を修了しなければ支給されないため、働きながら学習を続けるモチベーションにもつながるでしょう。

さらに、制度を複数回利用できるのもメリットです。給付金の受給から次の受講開始日までに3年以上経過し、雇用保険の被保険者であった期間が通算3年以上ある場合は、再度制度を利用できます。

教育訓練給付金の受給に関する注意点

一方、教育訓練給付制度を利用する上では、以下の点に注意が必要です。

  • 修了しなければ給付金が支給されない
  • 手続きが煩雑である
  • 受けたい講座が制度の対象外である可能性がある
  • 制度を利用する講座を見極める必要がある

修了しなければ給付金が支給されない

前述の通り、教育訓練給付金は、講座を修了しなければ支給されません。教育訓練施設が定める修了基準をクリアする必要があります。

また、出席率が80%未満の場合も支給対象外となり、費用は全額自己負担となります。

教育訓練給付制度を利用して学び直しを進める際は、仕事と受講を両立する覚悟が必要です。

手続きが煩雑である

制度を利用するためには、手続きを自身で行う必要がある点にも注意すべきです。受講修了日の翌日から起算して1か月以内に、ハローワークで必ず申請手続きを行いましょう。期限を過ぎることがないよう、スケジュール管理をすることが望ましいです。

また、正しく申請することも欠かせません。手続き内容に偽りや不正があった場合は、返還額の2倍の金額の納付を命じられ、詐欺罪として処罰の対象となることもあります。

受けたい講座が制度の対象外である可能性がある

受けたい講座が制度の対象外である場合は、そもそも教育訓練給付金を利用できません。
費用は全額先払いであるため、受講後に対象外であることに気づくと、思わぬ費用を負担することになってしまいます。

検索システムを活用し、事前に対象であるかをチェックしましょう。

制度を利用する講座を見極める必要がある

どの講座で教育訓練給付制度を利用するか、見極めることも大切です。一度教育訓練給付制度を利用すると、一定期間が経過するまで、再度利用できないためです。キャリアアップにつなげるためには、受講する講座を慎重に検討し、制度を利用しましょう。

中央大学大学院で教育訓練給付金を利用できる講座

2023年9月時点で、中央大学大学院が実施している講座で教育訓練給付金を利用できるのは、以下の通りです。

<一般教育訓練>

  • 法学研究科博士課程前期課程公法専攻
  • 法学研究科博士課程前期課程民事法専攻
  • 法学研究科博士課程前期課程刑事法専攻
  • 法学研究科博士課程前期課程国際企業関係法専攻
  • 法学研究科博士課程前期課程政治学専攻
  • 経済学研究科博士課程課程前期課程経済学専攻
  • 商学研究科博士課程前期課程商学専攻
  • 理工学研究科博士課程前期課程数学専攻
  • 理工学研究科博士課程前期課程物理学専攻
  • 理工学研究科博士課程前期課程情報工学専攻
  • 理工学研究科博士課程前期課程電気電子情報通信工学専攻
  • 理工学研究科博士課程前期課程ビジネスデータサイエンス専攻
  • 文学研究科博士課程前期課程社会学専攻
  • 文学研究科博士課程前期課程社会情報学専攻
  • 総合政策研究科博士課程前期課程総合政策専攻
  • 国際情報研究科修士課程国際情報専攻

<専門実践教育訓練>

  • 戦略経営研究科専門職学位課程戦略経営専攻

このように、幅広い専攻が教育訓練給付制度の対象となっています。中央大学大学院での学び直しを考えている方は、積極的に制度を活用しましょう。

参考:教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム「中央大学大学院」

まとめ:大学院での学び直しや資格取得には教育訓練給付金を活用しよう

教育訓練給付制度は、大学院での学び直しや資格取得をはじめ、社会人のキャリアアップに役立つ講座の受講費用の一部を給付する制度です。経済的にメリットが大きいため、支給対象となっている方は、積極的に利用するのがおすすめです。

支給額は、教育訓練の種類によって異なります。厚生労働大臣によって指定された教育訓練のみが制度の対象となるため、事前に講座が対象であるか、どの教育訓練に該当するかをチェックしましょう。

中央大学大学院が実施している講座でも、教育訓練給付制度を利用できるものが複数存在します。教育訓練給付制度を活用し、スキルアップやキャリア形成に役立てましょう。