受験準備

研究計画書の書き方を例文付きでわかりやすく解説|ポイントやその他の準備も

大学院受験を考えている方の中には、「研究計画書をどのように作成すればよいのかわからない」と頭を悩ませている方も多いでしょう。研究計画書は入試の審査に関わる重要な資料の一つであるため、丁寧に作成する必要があります。

この記事では、研究計画書の書き方について、項目別に例文を交えて説明します。効果的な研究計画書を作成するポイントや、その他の準備についても紹介するため、大学院進学を検討している方はぜひ参考にしてください。

研究計画書とは

研究計画書とは、多くの大学院入学試験で出願書類として求められる書類の一つで、大学院進学後に取り組みたい研究の内容や計画を簡潔にまとめたものです。自分が行いたい研究の目的や背景、研究方法などを具体的に記載し、審査委員に自身が希望する研究内容をわかりやすく伝えることを目的としています。

研究テーマを明確にして、研究内容をよく検討した上で作成する必要があり、作成には多くの時間がかかります。入試の4〜6ヶ月前には、研究計画書の作成に取りかかりましょう。可能であれば、現在の指導教員に添削をしてもらうなどして、第三者が読んだ際に内容が伝わりやすい文章となっているかを確認するとよいでしょう。

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大学院進学に必要な研究計画書に記載すべき項目とポイントを解説

研究計画書の準備は入念にしよう

研究計画書は、大学院入試の審査に関わる重要な判断材料です。大学(学部)入試では、入学定員を念頭に合格者を決定することが多いですが、大学院入試では、大学院での研究の実現可能性という観点から審査を行うことが多いです。

具体的には、大学院での研究活動で求められる知識・技能がありそうか、修了に必要な論文を執筆することができそうかといった点がポイントとなります。

例えば、「流行っているテーマだから、研究したい」というような漠然とした研究動機や研究目的を記載した場合、研究の意義や独自性が伝わりにくく、合格につながるような評価を得るのは難しいでしょう。

研究の意義や目的、実現可能性を十分に検討したり、先行研究の調査を十分にしたりするなど、研究計画書は入念に準備を行い、具体的で説得力のある内容に仕上げることが重要です。

【項目別】研究計画書の例文

研究計画書の主な項目は、以下の通りです。

  • 研究テーマ
  • 研究の背景や目的(先行研究を含む)
  • 研究内容
  • 研究方法
  • 期待される効果
  • 参考文献

それぞれの項目について、書き方のポイントと例文を確認しておきましょう。

1.研究テーマ

研究テーマは、研究内容を端的に表現したタイトルのことです。長くても40文字程度に収め、研究の概要が伝わるようにしましょう。必要に応じてサブタイトルを付けることで、より具体的な研究内容を示すことが可能です。

例文:

○○における△△の研究開発 ―××技術を用いた□□の向上―

2.研究の背景や目的(先行研究を含む)

研究の背景では、なぜその研究が必要なのかを、社会的背景と学術的背景の両面から説明します。

まず社会的背景として、その研究が社会でどのように役立つのか、どのような社会問題の解決につながるのかを説明します。例えば、環境問題への貢献や高齢化社会における課題解決など、社会的なニーズを具体的に示します。

次に、学術的背景として、その分野での先行研究の現状と課題を説明します。これまでどのような研究が行われてきたのか、そしてそれらの研究では何が明らかになり、どのような課題が残されているのかを具体的に述べる必要があります。

例文:

近年、○○分野では、△△という問題が深刻化しており、□□が重要な課題となっている。この課題に対し、従来の研究では××という手法が提案されてきたが、▲▲という問題が残されている。本研究では、◇◇という手法を活用することで、☆☆を目指す。

3.研究内容

研究内容では、研究を通して何を明らかにしたいのかを説明します。研究対象や検証したい仮説を明確に示すことが重要です。ここでは、曖昧な表現を避け、研究で明らかにしたい点を具体的に記載しましょう。

例文:

本研究では、○○における△△を明らかにする。特に、××に着目し、□□を検証する。

4.研究方法

研究方法では、具体的な調査方法や実験手順、解析方法を説明します。調査対象や方法、使用する主な機器や測定方法、データ分析手法などを記載しましょう。

実現可能性が問われるため、どのような方法でデータを収集・分析するのか、具体的かつ現実的な方法を示すことが重要です。効果が見込まれる大掛かりな研究計画を立てても、在学中に実現ができないようであれば、大学院での研究活動の計画としては十分なものではないと判断されることになります。

例えば、「分析を行う」という漠然とした表現ではなく、「統計解析ソフトRを用いて重回帰分析を行う」のように、使用するツールや手法を明確に記載し、研究の実現可能性を示します。

例文:

○○を用いて△△の測定を行い、××の特性を評価する。得られたデータは□□法により解析し、▲▲との相関を調べる。

5.期待される効果

どのような研究の効果を期待できるのか、社会にどのような影響をもたらすのかについて説明します。可能な限り具体的な効果を示すことで、研究の価値をより明確に伝えることができます。

例文:

本研究により、○○を△△することが期待できる。また、××を確立することで、□□も見込まれる。

6.参考文献

参考文献では、研究計画書の裏付けとなる重要な文献を記載します。記載形式は、自身が専攻する研究分野の形式に従いましょう。

また、研究の根拠となる理論やデータの妥当性を示すだけでなく、他者の研究成果を適切に引用・参照していることを証明する役割も持ちます。引用元を明示せずに他者の研究内容や文章を使用することは剽窃となるため、使用した文献は漏れなく記載し、提出前に十分確認することが欠かせません。

例文:

1. 著者. (出版年). 『書名』. 出版社名, シリーズ名, 総ページ数.

2. 著者. (出版年). 「論文名」. 『雑誌名』. 巻数(号数). 掲載ページ. DOI

3.著者名(更新日) .「ページ名」 .サイト名 .参照元URL , (最終閲覧日) .

以下の記事では、学術分野別に参考文献の記載方法を説明しています。参考文献を記載する際は、ぜひ参考にしてください。

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研究計画書の参考文献の書き方|ルールや記載する数の目安も説明

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効果的な研究計画書のポイント

研究計画書を作成する際には、表現方法に注意を払う必要があります。説得力のある研究計画書を作成するために、ここではポイントとなる点を2点説明します。。

  • 曖昧な表現を使用しない
  • 二重否定表現を避ける

適切な表現を用いることで、研究内容をより正確に、よりわかりやすく伝えられます。

曖昧な表現を使用しない

研究計画書では、具体的で明確な表現を使用することが重要です。「だいたい」「おそらく」といった曖昧な表現は避け、可能な限り具体的な数値や方法を示しましょう。初めてその研究計画を目にする審査委員に伝わりやすい表現を心がけることが重要です。

例:

「データをある程度収集する」→「100件のサンプルデータを収集する」

「調査項目を作成し、インタビュー調査を行う」→「●年次の×月に調査項目を作成し、△月に■件のインタビュー調査を行う」

「性能が向上する」→「従来比20%以上の性能向上を目指す」

このように、具体的に記載したり、数値目標を示したりするとよいでしょう。

二重否定表現を避ける

二重否定表現は文章を複雑にし、読み手の理解を妨げる原因となります。研究計画書では、シンプルでわかりやすい表現を心がけましょう。

例:

「実現が不可能ではない」→「実現可能である」

「影響がないとは言えない」→「影響がある可能性が高い」

このように、直接的な表現に置き換えます。また、「~ないわけではない」といった婉曲な表現も避け、自分の主張を明確に示すことが重要です。

 

研究計画書は何枚くらい書けばいい?

研究計画書の枚数は、大学院によって指定が異なります。一般的にはA4用紙1~2枚程度ですが、A4用紙4~5枚程度の分量を要求する大学院もあります。志望する大学院・研究科が定める要件をあらかじめ確認しておきましょう。

文字数の目安

「○○字以内」という指定があった場合は、必ずその文字数以内に収める必要があります。

「○○字程度」という指定の場合は、前後10%程度の余裕があります。例えば1000字程度という指定の場合は900~1100字、2000字程度の場合は1800~2200字を目安にすることがおすすめです。

研究計画書以外で準備するもの

大学院入試では、研究計画書の他にもさまざまな準備が必要です。ここでは、必要書類の準備から筆答(筆記)試験、口述(面接)試験の対策まで、具体的に説明していきます。

出願書類

大学院入試では、研究計画書の他に、主として以下の書類を提出します。出願書類は大学院や研究科によって異なるため、以下の内容は参考として、必ず志望する大学院・研究科の入試要項に記載された出願書類を確認しましょう。

  • 入学願書
  • 大学・大学院の卒業・修了(見込)証明書
  • 成績証明書
  • 卒業論文・修士論文

提出期限に間に合わないという事態を避けるために、余裕を持って書類を準備しましょう。特に、証明書類は発行に2週間以上かかることもあるため、早めに準備を始めておくことがおすすめです。

出願書類に不備があると受験が認められない可能性もあるため、募集要項で必要書類を確認し、漏れがないようにすることが大切です。

なお、進学を希望する大学院によっては、推薦書や外部の外国語試験スコアなどの提出を求められることがあります。推薦書は指定の方法で作成する必要があります。具体的には大学の指導教員に依頼して作成してもらうなどの方法があります。

筆答(筆記)試験の対策

筆答試験では、専門科目と外国語科目を課す場合が多いです。

外国語試験では、学術論文の読解力や研究に必要な外国語能力が問われます。大学院によっては、英語であればTOEICやTOEFLなどの外部の外国語試験のスコアの提出が求められるケースもあり、一定のスコアがあれば英語試験が免除されることもあります。英語の学習は時間がかかるため、1年程度の学習期間を儲けることがおすすめです。

専門科目では、学部レベルの基礎的な知識から、志望分野の専門的な内容まで幅広く出題されます。日頃の学習に加えて、過去問題を解くことで出題傾向を把握し、苦手分野を重点的に学習することが効果的です。

口述(面接)試験対策

口述試験では、研究計画の内容に加えて、専門分野への理解度や研究への意欲が評価されます。そのため、研究計画書に記載した内容だけでなく、自身の研究計画に関連する具体的な先行研究や関連する文献等をよく確認し、専門分野に関する知識や自身の考えを明確にしておくことが求められます。

また、事前に指導を希望する教員(研究室)を訪問し、研究内容について相談することで、研究計画をより具体的に練ることができるだけでなく、指導方針や研究室の実際の環境も確認できます。

口述試験では研究計画について論理的に説明し、質疑応答に適切に対応することが求められます。そのため、研究計画書の内容を十分に理解し、想定される質問への回答を準備しておきましょう。

まとめ:研究計画書の準備は入試の4〜6ヶ月前には始めよう

研究計画書は大学院入試において非常に重要な書類です。具体的で論理的な内容を、わかりやすい表現で記載することを心がけましょう。また、提出前に第三者に確認してもらい、誤字脱字や表現のわかりにくさを指摘してもらうのもおすすめです。

研究計画書の作成には時間がかかりますが、丁寧に作り込むことで自身の研究に対する熱意を効果的にアピールできます。指導教員からのフィードバックを反映できるように、入試の4〜6ヶ月前には作成に取りかかりましょう。

大学院入試では、研究計画書の提出に加えて、必要書類の提出や筆答試験対策、口述試験対策も必要となります。早めに準備を始めて、希望する大学院の合格を目指しましょう。

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