大学院進学を検討している方の中には、何年通う必要があるのか分からない人もいるでしょう。大学院の年数は、将来の希望進路や研究分野、進学する研究科などにより変わってきます。そのため、大学院修了後の自身の希望進路についてよく検討し、入学以降のキャリアパスを考えておくことがとても重要です。
今回は大学院修了までに必要な年数と、大学院進学で考えるべきポイントを解説します。
大学院には何年通うのか
大学院には何年通う必要があるのか、修士課程(博士前期課程)と博士課程(博士後期課程)に分けて解説します。本記事における修士課程、博士課程に関する記述は、それぞれ博士前期課程、博士後期課程も含む内容になります。
修士課程修了に必要な年数
大学院の修士課程の標準修業年限(原則として修了までに必要な年数)は2年間です。以下の3つの要件を満たしていると修了できます。
・大学院に2年以上在籍(優れた業績をあげた者は1年以上の在学で修了できるケースもある)
・30単位以上の単位取得
・必要な研究指導を受けた上、当該修士課程の目的に応じ、当該大学院の行う修士論文または特定の課題についての研究の成果の審査及び試験に合格すること
博士課程修了に必要な年数
大学院の博士課程の標準修業年限(原則として修了までに必要な年数)は3年です。以下の3つの要件を満たしていると修了できます。
・大学院に5年以上在籍(博士前期課程2年、博士後期課程3年の課程に区分する博士課程の場合、博士前期課程の在籍期間を含む)
・30単位以上取得(博士前期課程2年、博士後期課程3年の課程に区分する博士課程の場合、博士前期課程における修得単位を含む)
・大学院の行う博士論文の審査及び試験に合格すること
なお、上記の要件は学校教育法の規定に基づき定められている「大学院設置基準」による最低基準であり、各大学院において定められている修了に必要な修得単位数などの修了要件とは異なります。
以下の記事で大学院の修了要件や制度について詳しく解説しているので参考にしてみてください。
大学院の修了要件とは?修了までの過程やキャリアパスも解説
大学院進学で知っておくべき情報まとめ|種類や学びの制度を解説
https://graduate.chuo-u.ac.jp/media/index.php/2022/04/28/graduate-school-enter/
医学・歯学・薬学研究科の大学院修了までに必要な年数
多くの研究科では修士2年間、博士3年間が修了までに必要な最低年数ですが、医学・歯学研究科は異なります。医学・歯学研究科には修士課程が存在せず、大学院に進学する場合、6年間学部に在籍した後に4年間の博士課程に進むことになります。
また薬学部には、薬剤師の養成を目的とした6年制と、薬学の学士取得だけを目的とした4年制がありますが、6年制の場合は4年間の博士課程、4年制の場合は2年間の修士課程と3年間の博士課程が用意されています。
最低必要年数より長く在籍する場合
修士課程2年間、博士課程3年間は修了までに必要な最低年数であり、それより長く在籍する場合もあります。
まず、修士論文や博士論文の執筆が終わらない、あるいは提出しても審査に通らないなどの要因で、修了要件を満たせなかった場合、修学を延長する必要があります。
他には大学院在籍中に海外の大学院に留学する場合も、在籍期間が長くなります。現地の大学院で研究に打ち込み、研究結果を出して大学等での教員職に進む場合や、現地の企業に就職する場合があり、目的によって必要な年数は異なります。
大学院進学で考えるべきこと
目指す進路や進学する大学院や研究科、学問分野によっても大学院に通う年数は変わります。では、大学院に進学する際にはどのようなことを考えればよいのでしょうか。以下では大学院に進学する前に考えるべきポイントを解説します。
修了後のキャリアプランを考える
大学院進学では、キャリアパスの実現に必要な研究を行うことができる環境が整った大学院を選ぶことが大事になります。大学院に進むことでキャリアプランの実現に役に立てられるよう、事前によく調べておきましょう。
例えば工学部の場合、修士課程を修了すると技術職や開発職に就きやすくなるほか、博士課程まで進めば大学院での研究職へのキャリアパスも開かれます。そのため進学前に就職するのか、博士課程に進学するのかなどの大学院修了後のキャリアパスを考えておきましょう。
教員訪問の際に、自分が希望する研究分野に近い研究をしている教員に話を聞くと、研究科や学問分野ごとのキャリアプランを詳しく聞けます。そのため可能であれば興味のある教員(研究室)を訪問し、希望する大学院や研究科で自分の目指すキャリアプランが実現できるか確認しておきましょう。
興味のある研究内容を絞り込む
同じ研究科・専攻であっても大学院によって特色があり、研究内容は異なります。研究内容が変われば修了までにかかる年数も変わります。そのため、事前に興味のある研究内容を絞り込んだ上で、それぞれの大学院で「何を研究できるのか」をあらかじめ調べておきましょう
次の記事で、大学院の選び方や他大学の大学院への進学を目指す場合にすべきことについて紹介しているので、参考にしてください。
大学院の選び方とは?候補の大学院を絞り込む方法も解説
他大学の大学院に進学するのは効果的?メリットや入学前にすべきことを解説
https://graduate.chuo-u.ac.jp/media/index.php/2022/04/28/graduate-school-other-university/
学費を調べておく
進学する大学院により学費は異なるため、修了までに必要な額を事前に把握し、予算の範囲内に収まるかを事前に確認しておきましょう。学費は大学院の募集要項やホームページに記載されています。スケジュールについては次の記事にて詳しく解説しています。
大学院入試の時期は?受験までの対策スケジュール・やるべきことを解説
まとめ
修士号の取得には、基本的に修士課程の2年間が必要ですが、博士号の取得を目指し博士課程に進学すれば更に3年の期間が必要になる他、出身学部や自分の希望進路によっても変わってきます。キャリアプランを立て、自分に必要な研究内容、進学したい大学院や研究科を明らかにすることが、大学院での研究計画を決める上で重要になるでしょう。
自分のキャリアパスの決定には、興味のある職業や研究分野の情報収集をはじめ、教員(研究室)訪問など、事前にやっておくべきことが多くあります。早いタイミングで着手をして、自分のキャリアパスを達成できるような大学院生活を送りましょう。