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博士号の種類|課程博士・論文博士の違いや専門分野による違いを解説

博士号(はくしごう)は、専門分野ごとにさまざまな種類が存在します。また、取得方法によって、いわゆる課程博士と論文博士に分けられるのもポイントです。課程博士と論文博士では、それぞれ取得のプロセスなどが異なります。。博士号を取得するにあたって、双方の特徴を理解し、どちらの方法で取得すべきか検討することが大切です。

この記事では、博士号の種類について、専門課程ごとの博士号の種類と、課程博士と論文博士の違いやそれぞれのメリット・デメリットなどについて解説します。博士号の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

博士号とは

そもそも博士号とは、大学院の「博士課程」や区分制博士課程の「博士後期課程」を修了した場合、あるいはこうした課程によらず博士論文の審査に合格した場合に得られる学位のことです。英語では“Ph. D”や“Doctor’s degree”、日本語では「ドクター」とも呼ばれます。

博士号は、ある分野において専門的に研究を行って授与される学位であるため、国内だけでなく海外でも評価されます。修士号よりも専門性が高く評価されるため、非常に価値のある学位です。

博士号には、取得方法によって課程博士と論文博士の2種類があり、分野によってもさまざまな種類があります。以下では、博士号の種類について、専門分野による違いと取得方法による違いを解説します。

博士号の種類|専門分野による違い

1887年の学位令制定によって、以下の5種類の博士号が制定されました。

  • 法学博士
  • 医学博士
  • 工学博士
  • 文学博士
  • 理学博士

以降、博士号の種類は追加され、19種類まで増加しました。しかし、1991年の制度変更で廃止され、多様化する学問に対応できるよう、現在は「博士(工学)」のように専攻分野をカッコ内に記すという表記方法に変更されました。

表記変更されたことで、学位の取得時期により「工学博士」と「博士(工学)」のように2種類の表記方法が混在しています。表記は違えど、両者は同じ博士号を指すと捉えてよいでしょう。

博士号の例

博士号の例は、以下のとおりです。あくまで一例であり、括弧内にはさまざまな表記で専門分野が示されます。

  • 博士(法学)
  • 博士(政治学)
  • 博士(経済学)
  • 博士(商学)
  • 博士(文学)
  • 博士(哲学)
  • 博士(教育学)
  • 博士(学術)
  • 博士(医学)
  • 博士(歯学)
  • 博士(保健学)
  • 博士(農学)
  • 博士(理学)
  • 博士(工学)
  • 博士(数学)
  • 博士(建築学)
  • 博士(美術)
  • 博士(音楽)
  • 博士(美術)

博士号の種類|取得方法による違い

博士号の取得方法には、課程博士と論文博士の2種類があります。この項目では、課程博士・論文博士それぞれの取得方法について解説します。

課程博士

課程博士とは、大学院の博士課程に進学し、規定されている年数在籍かつ所定の単位を取得し、博士論文を提出・審査に合格した場合に授与される学位のことです。

4年制の学部を卒業した場合、以下のような流れで取得します。

学部/4年 →修士課程(博士前期課程)/2年 →博士後期課程/3年

また、6年制の学部(医学・歯学・薬学・獣医学部など)を卒業した場合、以下のような流れで取得します。

学部/6年 →博士課程/4年

論文博士

論文博士とは、大学院の課程を経ないで(課程に在籍しないで)、学位請求論文を提出して、審査に合格することで授与される学位のことです。「ろんぱく」とも呼ばれます。課程博士と同じ博士号が授与され、博士の学位に違いはありません。論文博士は、海外にはない日本特有の制度です。

論文博士の取得方法は大学によって異なりますが、概ね以下のようなフローであることが多いです。

  1. 学位授与機関(大学)に申請
  2. 予備審査(申請を受理するかの審査)
  3. 本審査

まずは、学位の授与を希望する学位授与機関(大学)へ申請を行いましょう。申請要件、手続き方法などは機関によって異なるため、ホームページなどで必ず確認してください。申請にあたり、相当の研究業績・経歴等が求められます。

申請を行うと、申請を正式に受理するのかどうかを判断する予備審査が行われます。予備審査を経て申請が正式に受理されると、本審査に入ります。本審査では、博士論文の審査と口頭試問(面接)での最終審査が行われます。本審査に合格し、学位授与機関における学位授与の儀を経て学位の授与が承認されると、博士号が授与されます。

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課程博士のメリット・デメリット

課程博士の最大のメリットは、指導教授から常時、指導を受けながら研究を進められることです。

課程博士の場合、3年ほど博士課程に在籍し、指導教授から研究指導を受けながら研究活動に取り組めます。そのため、査読付き学術雑誌への論文掲載を目指したり、博士論文の基礎となる論文の作成を進めたりしやすい環境と言えます。

一方、入学金や授業料など経済的負担がかかる点がデメリットです。国立大学の場合、入学金として約30万円、授業料として年間約50万円が必要です。私立大学の場合は、国立大学よりもさらに費用がかかることがほとんどです。

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論文博士のメリット・デメリット

論文博士のメリットは以下の通りです。

  • 経済的な負担を軽減できる
  • 働きながら博士号の取得を目指しやすい

論文博士を取得するにあたって、大学院に在籍する必要はありません。そのため、入学金や授業料といった経済的な負担が少ないのは大きなメリットだと言えます。また、大学院に在籍する必要がないため、企業や公的研究機関などで働きながら、博士号の取得を目指したい方に向いています。

一方、大学院の課程に在籍しないことから、論文博士には以下のようなデメリットがあります。

  • 基本的には独力で研究を進めることになる
  • 論文の審査に手数料がかかる

論文博士の申請には、相当の研究業績や経歴を有していることが必要とされます。誰もが簡単に申請して、審査を行ってもらえるものではありません。

また、博士課程に在籍していないため、指導教授から指導を受けながら研究を進めることができません。そのため、博士論文の水準まで論文をまとめ上げることが難しいというデメリットもあります。

さらに、論文博士の場合は本審査に審査手数料が発生する点に注意しましょう。

まとめ:博士号の種類を理解し、興味関心に合った進路選択を

この記事では、専門分野ごとの博士号の種類と、課程博士と論文博士の違いやそれぞれのメリット・デメリットなどについて解説しました。

博士は、専門分野によってさまざまな種類が存在します。さらに、課程博士と論文博士は取得方法が異なるため、違いについて理解することが大切です。

興味のある分野を突き詰めて研究し、極めたいと考えている方は、博士課程への進学を検討してみてはいかがでしょうか。

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