進路・資格

大学院の上には何がある?修士課程修了後の進路について解説

大学院修士課程を修了し、その先にどのような進路があるのか分からない方も多いでしょう。博士課程やポスドクの名前は聞いたことがあっても、どのような経験ができるのか、それらを終えた先にどのようなキャリアを描けるのかを知る機会は少ないです。

今回は大学院修士課程(博士前期課程)修了後の進路と、さらなる研究の道に進む際に必要な進路について解説します。

大学院の上(先)の進路

大学院には修士課程と博士課程の2つの課程があります。初めに修士課程(博士前期課程)を修めた後、より研究を深めたい場合には博士課程(博士後期課程)に進むことになります。

大学院の修士課程と博士課程の違いが分からない人は下記の記事を参考にしてください。

https://graduate.chuo-u.ac.jp/media/index.php/2022/04/28/graduate-school-enter/

この項目では、大学院修士課程修了後にはどのような進路があるのかを解説します。

就職と進学の2つの進路がある

大学院修士課程修了後には、主に就職と博士課程への進学の2つの進路があります。

民間企業へ就職する場合、理系修了者は研究職や技術職に進む場合が多いでしょう。文系修了者では、例えば統計学の習得からデータサイエンティストを目指すなど、専門知識を活かせる職に就く進路があります。

また、外資系企業などでは管理職や経営陣に加わる際には、その業種の専門性や実務経験に加えて、会計や経営、マーケティングなどの高度な知識が求められ、その証として修士号を取得していることが求められる場合があります。そうしたことを予め見越して、修士課程を修了したうえで就職するといったことが考えられます。

民間企業以外への就職としては、公務員・公的機関職員や中学・高校の教員、学芸員や心理職等の専門職なども挙げられます。近年では、私立の中学・高等学校の教員採用では、修士号以上の取得を求めているケースも多いでしょう。

国連やOECD、WTOといった国際公務員(国際機関職員)の募集では、専門領域に則した修士号以上の高い学歴が求められています。日本国内の公的機関の採用でも修士号以上の取得が条件となっている採用も増えつつあります。

専門職においても、その分野に関する高度な知識や技能が必要となるため、採用に際しては大学院(修士課程)修了が求められる場合が多いでしょう。

さらに研究を深めたい場合大学教員や研究員を目指す

博士課程進学後もさらに研究を深めたい場合は、大学教員や研究員を目指すことになります。大学教員は特定の専門分野について研究を行い、その結果を論文に掲載したり、学会で発表したりし、社会に対し研究成果を公開します。また、学部学生・大学院生に対しての教育・研究指導を行います。

研究員は、研究室やプロジェクトの専門分野の研究を目的に大学や国の機関、シンクタンクなどから雇用される人々です。基本原理の解明や新たな知の発見・創出のための基礎研究や、そこから実用化を目指す研究など、研究内容や研究室やプロジェクトによって多岐に渡ります。

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大学教員・研究員を目指す進路

大学教員や研究員を目指すために必要な進路について解説します。

博士課程に進む

多くの場合、大学教員や研究員になるためには、博士課程(博士後期課程)に進学し専門分野の研究を深めることが必須です。博士課程では修士課程より更に高度な研究を進める他、論文執筆や学会発表を行い、研究業績を積み上げていくこととなります。

博士課程進学の際は、自らが探究する分野の教員から指導を受ける(研究室に所属する)ことが修士課程以上に重要になります。修士課程を修了するまでには、何についてより深く研究したいかを明確にすることが必要です。

ポスドクに就く

博士号の取得者が就くことができる任期付き(1~数年間)の研究職として、いわゆるポスドク(博士研究員)があります。

博士課程の修了者が、修了後すぐに無任期で大学の教員として就職することができるのは極めて稀であり、まずは、いくつかの大学の非常勤講師を務めたり、ポスドクとして研究に従事することになります。ポスドクは任期があるので、任期終了前に大学や研究機関の無任期の職(パーマネント職)や、他のポスドクを探すことが求められます。

研究員になる

研究員になるには大学、民間企業、シンクタンク、国や地方公共団体などの組織の求人に申し込む必要があります。応募条件に博士課程修了を掲げる団体は多いですが、企業の中には修士課程修了を条件としているところもあります。民間企業や大学の研究室で実績を積み上げ、大学や研究所などの研究組織から直接声をかけてもらうといったケースも見受けられます。

ポスドクとは

ポスドクとはどのようなものか解説します。

ポスドクの活動内容

ポスドクは雇用される研究プロジェクトの遂行に従事します。研究計画に沿った計画を行う他、論文の執筆、スケジュールの調整等の業務も含まれます。研究プロジェクトの遂行は必須業務となるが、中にはプロジェクトの仕事をしつつ、空いた時間で自分の裁量で研究を行ったり、研究費申請を行える大学院も存在します。

ポスドクになるには

ポスドクになるには研究室に雇ってもらう必要があります。求人はJREC-INなどのサイトに掲載されています。また、各大学院のホームページに求人が掲載されていることもあります。自身の研究テーマに関連のある求人を見つけ応募することになります。

指導教員や学会で知り合った研究者から直接研究室やプロジェクトを紹介してもらえる場合もあります。そのためには、自身の研究成果を公表したり、研究者同士の交流を深めておくことが必要です。また、日頃からポスドクの募集情報がないか、周囲の人々から情報収集するとよいでしょう。

大学院の上の進路を目指す上でのポイント

大学院修士課程修了後の進路を決める際や博士課程への進学や大学教員・研究者を目指す上での、大事なポイントを解説します。

自分のやりたい研究を明確にする

博士課程は、研究者として自立して研究活動を行い、さらに高度の研究能力及び学識を養うための課程です。まずは何を研究したいかが明確になっていることが必須であり、それは博士課程やその先の進路においても極めて重要です。

日頃から積極的に知識の修得や研究に取り組み、将来どのような進路に進みたいのかを考えておくとよいでしょう。

修士までの学習内容を習得しておく

博士課程(博士後期課程)の研究内容は修士課程(博士前期課程)の内容がさらに高度で複雑化したものになります。そのため修士課程に在学中に、修士課程の水準の知識を習得しておくことが必要なのは言うまでもなく、博士課程における研究に繋がる知識・能力の習得に励む必要があります。

修士課程のうちから、熱心に研究に取り組み、論文や文献を読むことを心がけるとよいでしょう。また、機会があれば学会の発表に参加したり、論文の投稿をすることも望ましいです。

さらに言えば、日本学術振興会の特別研究員 (DC1)※に応募できるよう研究に取り組むとよいでしょう。これに採択されれば、自身の研究が博士課程での研究活動として十分な水準にあるとお墨付きを得たともいえるでしょう。

※優れた若手研究者に研究に専念する機会を与えるため、独立行政法人日本学術振興会が、大学院博士課程在学者で優れた研究能力を有し、大学で研究に専念することを希望する者を特別研究員に採用し研究奨励金を支給しています 。

様々な研究者と繋がりを持つ

博士課程やポスドクでは様々な研究者と繋がりを持つようにしましょう。自らの研究分野に対する知見を深められる他、ポスドクや教員の採用情報を紹介してもらえることもあります。研究者との繋がりは学会の他、他大学との交流でも作ることができます。

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まとめ:大学院の上に進む際は築きたいキャリアを明確にしよう

大学院の先には就職、研究の2つの進路があります。更なる研究の道に進み大学教員や研究員を目指す場合、博士課程を修了し、ポスドクや大学の兼任講師などのプロセスを経て大学教員や研究員になるルートがあります。博士課程在学中やポスドク在職中における、研究や論文執筆などの過程は研究者として研究業績を積み上げていく中で非常に重要であります。

修士課程に在学中のうちにどのようなキャリアに進みたいのか明らかにした上で、研究の道に進みたいと思ったなら博士課程への進学を検討してみよう。