大学院への進学を検討している方の中には、「大学院生に夏休みはあるのか」「大学院生は長期休暇をどのように過ごしているのか」など、長期休暇について疑問を抱いている方もいるでしょう。
学部の長期休暇は、文字通り長期間の休みとなります。友人と遊んだり、アルバイトに励んだりと、自由に過ごしやすいのが特徴です。一方、大学院の長期休暇は、指導教員や所属する研究室によって期間が異なります。さらに、長期休暇中も研究活動を進める学生が多いです。
今回は、大学院進学を検討している方に向けて、大学院生の夏休みや長期休暇はどのくらいあるのか、休暇中に大学院生がしていることや、学部との違い、相応しい過ごし方などを解説します。
大学院の長期休暇の時期・期間はどのくらい?
大学院の長期休暇も、授業のない期間については、学部と同様に2ヶ月程度と長期にわたります。しかし、授業のない期間すべてが完全に休みとなるわけではありません。大学院では、長期休暇中も指導教員からの個別の研究指導や、研究室での研究活動などが行われます。
ここでは、大学院生の夏休み・冬休み・春休みの時期と期間について解説します。
夏休み(夏季休暇)
大学院の夏休みは、授業のない期間としては、8月上旬から9月中旬にかけてとなっている場合が多いです。夏休み期間における研究指導や研究室での研究活動の進め方はさまざまであり、以下のようなパターンが考えられます。
- お盆休みのみが完全なオフで、それ以外は授業のない分、研究活動に注力する
- 週に数回、研究室に行くべき曜日が定められている
- 夏休み期間中は、自己で研究を進め、必要に応じて指導教員に指導を仰ぐ
このように、夏休み期間中の研究の進め方は、指導教員や所属する研究室によって大きく異なるのが特徴です。
冬休み(冬季休暇)
冬休みとして授業のない期間は、12月下旬〜1月上旬の2週間程度であるケースが多いです。冬休み期間は、夏休み同様にさまざまな形で研究が進められます。
ただし、冬休みは年度末が近づき、学位論文を提出する時期が迫ってくるため、論文完成に向けた最後の仕上げに集中して取り組む期間になることも多いでしょう。
春休み(春季休暇)
春休みとして授業のない期間は、2月上旬〜4月上旬です。春休みも、夏休みや冬休みと同様に研究活動が行われます。
ただし、修士(博士前期)課程を修了した後に就職する予定の場合、修士1年次には就活にも時間を費やすこととなります。3月頭ごろから就職活動がピークを迎えるためです。もちろん研究活動も進めなければならず、就活と研究活動を両立する必要があります。
大学院生の夏休み・長期休暇の過ごし方
大学院生の夏休みや長期休暇の過ごし方としては、研究活動以外にも、以下のようにさまざまな選択肢が挙げられます。
- 研究活動
- 中間発表
- 学会発表
- インターンシップ
- 就職活動
- 資格取得
- アルバイト
- 趣味・旅行
ここでは、大学院生の夏休み・長期休暇の主な過ごし方について解説します。
研究活動
大学院生の本分は研究であり、長期休暇といえども研究活動は継続されるのがポイントです。指導教員・研究室の中には、研究室に行くべき日を特に指定しないところもあります。その場合でも、自分でスケジュールを管理し、計画的に研究を進めることが求められます。
授業期間中は、授業の課題やTAとしての活動などを行う大学院生もいます。授業が始まると、ほかにもやるべきことが多く、忙しさゆえに思うように研究活動が進まなくなる可能性も否定できません。夏休みの段階でいかに研究活動を進められるかで、その後の過ごし方が大きく変わってくる点に注意が必要です。
中間発表
修士2年次には、夏や秋に修士論文の中間発表の機会が設けられていることがあり、夏休みを使って中間発表に向けた準備を進める必要があります。
中間発表は、修士論文の執筆において非常に重要な役割を果たします。中間発表には、指導教員だけでなく、ほかの教員や学生も参加します。日頃の研究成果をアピールする場であることはもちろん、教員やほかの学生からの質疑応答を通して、研究の問題点や改善の方向性を、早い段階で明らかにできる良い機会です。
中間発表を有意義なものにするためには、研究にある程度の進捗が求められます。また、客観的にわかりやすく研究内容を説明できるよう、発表資料の作り込みも欠かせません。
学会発表
大学院生の中には、長期休暇中に開催される学会に参加する方も多いでしょう。学会発表には、スライドを使ってプレゼンする口頭発表と、ポスターを作成してポスターの前でプレゼンするポスター発表があります。
いずれも、発表に向けて以下のような準備を入念に行うことが大切です。
- 講演要旨・概要の執筆
- プレゼン用のスライドやポスターの作成
- 発表練習
インターンシップ
長期休暇を利用して、企業が実施するインターンシップに参加する大学院生も多いです。
インターンシップには、短期インターンシップと長期インターシップがあります。特に、1週間~1ヶ月程度の短期インターンシップは、長期休暇の時期に実施されるケースがほとんどです。
また、長期休みをきっかけに、数ヶ月〜1年以上の長期にわたって行われる長期インターンシップに参加したり、より業務に積極的に関わったりする大学院生も見られます。
大学院生のインターンシップについて、詳しくはこちらをご覧ください。
就職活動
修士1年次は、長期休暇を活用して、研究活動と並行して就活を進めることが必要です。
修士1年次の6月上旬ごろからインターンシップの選考が始まり、夏季休暇の時期にインターンシップに参加することになります。また、冬季休暇の期間は企業分析や会社説明会への参加、春季休暇の期間はES提出や面接と、修士1年次の後期は就活が本格化する時期です。
日頃の研究活動や学会の準備などで忙しい合間を縫って就活を進めなければならないため、長期休暇のまとまった時間を利用して、積極的に就活の準備をすることが求められます。
資格取得
長期休暇を利用して、TOEICやTOEFLのような英語資格や、専門分野に関する資格の取得に向けた学習を進めることも可能です。
特に、就活では資格を取得していることが評価されるケースが見られます。また、英語の文献を読みこなし、より研究に取り組みやすくするためにも、資格取得は有意義な長期休暇の使い方といえるでしょう。
アルバイト
大学院生は、平日は授業と研究活動で忙しいため、アルバイトができなかったり、シフトにあまり入れなかったりするケースも珍しくありません。そのため、長期休暇のまとまった期間を利用して、アルバイトに勤しむ大学院生が多いです。
短期留学
長期休暇は、短期留学に行く絶好の機会でもあります。短期留学に参加することで、語学力の向上はもちろん、異文化を経験して視野を広げたり、現地の大学で専門分野に関する知見を深めたりできるのが魅力です。
1週間程度から参加できる短期留学プログラムを豊富に用意している大学が多く、プログラムによっては単位が認定される場合もあります。単位認定される制度の利用を考えている場合は、早い段階で大学に確認をしましょう。
趣味・旅行
長期休暇中もやるべきことは多いものの、平日よりも時間を作りやすいため、リフレッシュとして、趣味の時間や旅行に充てる大学院生もいます。
趣味に打ち込んだり、旅行でリフレッシュしたりすることで、研究の生産性が向上することも期待できます。
学部の夏休み・長期休暇との違い
学部の夏休み・長期休暇というと、授業がない分、友人と旅行に行ったり、アルバイトを普段以上にしたり、趣味に没頭したりと、思い思いに過ごせる期間です。
一方、大学院の夏休み・長期休暇は、休みだからといって完全に自由に過ごせるとは限りません。学部の夏休み・長期休暇と同じと捉えていると、研究活動がうまく進まないリスクがあるため、注意が必要です。
ここでは、大学院と学部の夏休み・長期休暇の違いについて解説します。
- 人によって研究活動以外に使える休暇の長さが大きく異なる
- やるべきことが多い
人によって休暇の長さが大きく異なる
前述のとおり、大学院の長期休暇における研究活動の進め方は、指導教員や研究室によって異なります。「ほかの研究室は休みだが、自分の研究室に行かないといけない」というパターンもよくあります。
学部生の長期休暇は、大学へ行くことが少なくなることがほとんどです。一方、大学院生は長期休暇の期間も研究室へ通うことが多い点は、学部との大きな違いといえるでしょう。
やるべきことが多い
大学院の長期休暇は、研究活動で進捗を生むための非常に重要な期間です。そのため、休みといっても、自主的に研究室に通ったり、調査活動に出かけたりと研究活動を進めることが求められます。
修士2年次の場合は、9月初旬ごろに行われる中間発表に向けて、研究活動で成果を出したり発表用の資料を作ったりする必要があります。また、冬休みは、修士論文の提出や最終発表に向けて、研究活動が佳境に入る時期です。
修士1年次の場合も、春休みは就活と研究活動を両立する必要があり、多忙な日々を過ごすこととなります。
このように、大学院の長期休暇では、研究活動や就活など、さまざまな活動に取り組むことが望ましいのがポイントです。
大学院生におすすめの夏休み・長期休暇の過ごし方
ここでは、大学院生が夏休みや長期休暇を実りあるものにするための、おすすめの過ごし方を2つ紹介します。
- 研究活動に没頭する
- インターンシップに参加する
研究活動に没頭する
長期休暇は、授業がなく研究活動に注力できる良い機会です。
理系の大学院生の場合、平日は自由に使いにくい共用の設備や装置も、人が少ない長期休暇なら気兼ねなく利用できます。そのため、研究活動を円滑に進めやすいのがメリットです。
理系に限らず、長期休暇を利用して遠方まで調査しに行ったり、外部の施設を見学しに行ったりと、一歩進んだ研究活動を行えるのも魅力です。
さらに、まとまった時間をかけて研究に向き合えるため、先行研究の調査などを一気に進められる機会でもあります。
このように、夏休み・長期休暇は、研究活動を前進させるための絶好のチャンスです。
インターンシップに参加する
インターンシップの参加には、さまざまなメリットがあります。専門分野と関係するインターンシップに参加すれば、専門分野の実務経験を積んだり、研究に役立つデータを得られたり、志望業界に対する理解を深められたりします。また、専門に関係なくさまざまな分野のインターンシップに参加することで、幅広い業界や企業について知り、将来の選択肢を広げられるでしょう。
就職活動を円滑に進めるためにも、研究活動と両立できる範囲内で、インターンシップに積極的に参加することがおすすめです。
まとめ:大学院の夏休みは研究活動に向き合う絶好のチャンス!
大学院の夏休み・長期休暇は、休みの時期や長さが指導教員や所属する研究室によって異なります。さらに、休暇中も研究活動を進める必要があり、学部時代とは大きく異なる点に注意が必要です。
このように聞くと、「大学院生は大変そう」という印象を持つ方もいるでしょう。確かに、長期休みも研究室に通い、成果が出るまで試行錯誤したり、論文を執筆する準備を進めたりすることは、楽しいことばかりではありません。しかし、大学院の夏休み・長期休暇は、専門分野に思う存分向き合えるチャンスです。
この記事を参考に、大学院の夏休み・長期休暇の過ごし方について理解し、大学院生活のイメージを膨らませていただければ幸いです。