大学院進学

大学院に行きたくない!進学を迷う理由や進学するメリットを解説

大学院への進学を迷っている方の中には、まわりに流されて、なんとなく大学院進学を検討している方も少なくないでしょう。明確なモチベーションがないまま進学してしまうと、進学後に後悔する可能性があります。一方、よく考えずに大学院進学を諦めてしまうのももったいないです。

いずれの場合も、大学院に進学する目的を明確にし、自身の不安や疑問を解消できるよう、積極的に情報収集をすることが大切です。

今回は、大学院に行きたくないと考える主な理由や、大学院に進学するメリット、大学院進学後に後悔しないためにやるべきことなどを解説します。

大学院に行きたくないと考える主な理由

まずは、大学院に行きたくないと考える、主な4つの理由について見ていきましょう。

  • 大学院でやりたいことがない
  • 大学院でやっていける自信がない
  • 就職したい
  • 金銭的な余裕がない

大学院でやりたいことがない

大学院で研究したいと思えることが見つかっていない場合、大学院に進学するモチベーションは湧かないでしょう。

大学院は、自身が選んだテーマに沿って、特定の学問領域の専門的な学びを深める場です。学部のように、ある学問分野の中で、基礎的な内容から一定程度の専門的な内容まで、幅広く学ぶわけではありません。そのため、自ら積極的にやりたいと思えることが見つかっていないまま進学すると、大学院進学後に後悔してしまう可能性があります。

進学後にやりたいことを見つけようと思っても、研究活動や日々の授業、学会発表の準備やアルバイトなどに追われる毎日のなかでは、多忙さゆえに難しいでしょう。

大学院でやっていける自信がない

学部の卒業研究やゼミ活動が好きになれなかったり、よい研究結果が得られなかったりすると、自信を失ってしまいがちです。

よくあるのが、「勉強は好きだったものの研究活動は好きになれない」というケースです。勉強は、何かを暗記したり正解を導いたり、ゴールが定められています。一方、研究はゴールを自分自身で設定し、そこに到達するまでの手段や手順を自分で考えなければなりません。そのギャップから、研究活動に馴染めない方も存在します。

また、現在取り組んでいる学部レベルでの研究活動・ゼミ活動でよい結果が得られていない場合は、研究活動に対するモチベーションがなくなり、大学院に進学したい気持ちが薄れてしまうかもしれません。

就職したい

社会人経験を早く積みたい場合は、大学院に進学せず就職する、という選択肢が視野に入るでしょう。

ただし、大学院に進学して修士課程や博士課程を修了することにより、専門性が求められる仕事に就きやすくなる、というメリットがあります。自身が就きたい仕事が高い専門性を要する場合、大学院を修了したという事実が、就職の際に評価されます。

さらに、就職後、学部卒よりも上位のポストに就ける可能性もあります。

金銭的な余裕がない

大学院に進学する金銭的な余裕がない場合も、大学院進学をためらってしまうでしょう。

大学院進学にかかる費用は、学問分野の違いや大学院の種類、国立か私立かなどによって大きく異なります。目安は以下の通りです。

国立 約82万円
公立 約70〜100万円
私立(理系) 約100〜180万円
私立(文系) 約80〜180万円
私立(法科大学院) 約90万円

このように、大学院進学には、決して安くはない金額がかかります。

アルバイトで学費を工面しようにも、大学院生は研究活動に割かなければならない時間が多く、学部生のようにアルバイトができない可能性が高いです。アルバイトに時間をかけすぎて研究活動が疎かになることも考えられます。

自身の状況にマッチした奨学金制度はあるか、アルバイトをする時間を確保できる余裕はありそうか、よく考えた上で、大学院に進学するかを決めることが大切です。

大学院に進学するメリット

大学院に進学することには、以下のように大きな意義があります。

  • 充実した環境で研究に注力でき、専門性を高められる
  • 論理的思考力や分析力を身につけられる
  • 専門性の高い職に就きやすくなる

ここでは、大学院に進学するメリットについて解説します。

充実した環境で研究に注力でき、専門性を高められる

大学院では、学部に比べて研究環境が充実しており、整った環境下で高度な研究活動を進められます。研究設備が整っているほか、教員との距離も近く、質問や議論を通して学びを深められるのがメリットです。

さらに、学会や研究会に参加する機会も多いため、他大学の教員や各分野で活躍する第一人者と交流できます。研究に役立つさまざまな知見を得られる機会が豊富なのも、大学院ならではの魅力です。

論理的思考力や分析力を身につけられる

大学院では、自身の専門分野に関する高度な知識だけでなく、論理的思考力や分析力など、さまざまな場面で役立つスキルを身につけられます。

大学院の講義や演習では、自分の考えをプレゼンでわかりやすく伝えたり、1つのテーマについてあらゆる角度から思考を深めたりします。そのため、論理的思考力やプレゼンテーションスキル、問題意識を持って批判的に考える力など、社会人として必要とされるスキルを習得できます。

専門性の高い職に就きやすくなる

大学院で専門性を身につけることにより、専門性の高い職に就きやすくなるというメリットもあります。

特に、研究職や技術職では、専門性の高い人材のニーズが高く、大学院での研究実績が就活時に大きなアピールポイントとなります。就職時の初任給が、学部卒よりも高く設定されているケースも多いです。

また、大学教員や国際公務員、研究機関の研究員など、職種によっては、修士号や博士号の学位がなければエントリーできない場合もあります。

近年、私立中学・高等学校の教員の採用でも、修士号の取得が推奨されるケースが増えています。さらに、学芸員や心理職等の専門職においても、大学院修了(大学院での諸活動を通じた高い専門性の習得)が求められる場合が多いです。

このように、大学院に進学することにより、将来の選択肢が広がるでしょう。

大学院進学後に後悔しないためにやるべきこと

大学院進学後に後悔しないためには、積極的な情報収集が大切です。ここでは、大学院進学前にやるべきことを4つ紹介します。

  • どの大学院に進学するかを熟考する
  • 研究室訪問(教員訪問)に参加する
  • 進学相談会に参加する
  • 先輩に話を聞く

どの大学院に進学するかを熟考する

大学院でやりたいことを叶えるためには、まず、どの大学院に進学するかを熟考することが大切です。在籍する大学の大学院に進学するだけでなく、他大学の大学院に進学する選択肢もあります。

在籍する大学の大学院で研究できない分野がある場合や、自身の研究に最適な環境が整っている場合は、他大学の大学院に進学することも視野に入れましょう。

人脈や交友関係を広げたい方や、より優秀な学生と切磋琢磨したいと考えている方も、他大学の大学院への進学を検討すべきです。他大学の大学への進学については、以下の記事で詳しく解説しています。

他大学の大学院に進学するのは効果的?メリットや入学前にすべきことを解説

研究室訪問(教員訪問)に参加する

大学院進学にあたって、研究室訪問(教員訪問)に参加することも欠かせません。

研究室訪問(教員訪問)とは、研究室や指導を希望する教員のもとを訪問し、研究できる内容や教員の指導方針、研究室の雰囲気などを知ることです。

研究室訪問に行くことにより、自分が大学院進学について抱いている不安や、希望する研究室で自身がやりたい研究ができるか、といった疑問を解消できます。少なくとも、大学院に出願する1か月前までには、研究室訪問をすませましょう。

大学院の研究室訪問はなぜ重要?進め方や聞くべき質問も解説大学院での所属研究室(あるいは、どの教員から指導を受けるのか)は、大学院生活において自分がどれだけ充実した時間を過ごせるかに大きく影響し...

進学相談会に参加する

進学相談会に参加すると、大学院でのリアルな生活や進学に関する悩みなどを、教員や職員、大学院生に個別に相談できます。大学院進学後の姿をイメージできるようになり、モチベーションが高まることも期待できます。

また、大学院に進学した先輩に相談できれば、具体的なアドバイスをもらい、進学に関する不安を払拭できるでしょう。

https://graduate.chuo-u.ac.jp/media/index.php/2023/05/29/graduate-school-information-session/

先輩に話を聞く

大学院に進学する前に、先輩に話を聞くことも大切です。

進学するか就職するかを迷っている場合、学部卒で就職を選んだ先輩と、大学院を修了してから就職した先輩からそれぞれ話を聞くことで、自身の意思決定に活かせるでしょう。

身近に相談できる先輩がいない場合は、上記の進学相談会に参加するほか、学生相談室や相談デスクのような窓口に足を運ぶのもおすすめです。

大学院進学後にやめたくなったらどうする?

大学院進学後、やはり大学院に行きたくない・続けたくないと思った場合は、まずは「大学院で何をしたいのか」「何のために大学院へ進学したのか」を考える必要があります。

「なんとなく行きたくないから」という安易な理由で中退を決めてしまうと、後悔する可能性が高いです。特に、就活の際、中退したということで、自己アピールがしづらくなってしまうことも考えられます。

もちろん、研究活動がうまくいかないことや、日々の忙しさに疲れてしまうことはあるでしょう。その場合は、大学院への進学を決めた理由に立ち返ることで、目的を持って研究活動に取り組めます。

また、海外留学や起業など、新たに挑戦したいことが見つかった場合は、大学院に在籍したまま一定期間休学する、という選択肢もあります。

まとめ:大学院に行きたくないと悩んだら積極的に情報収集しよう

大学院への進学を迷っていたり、進学したくないという気持ちになったりした場合は、まずは積極的に情報収集することが大切です。研究室訪問や進学相談会への参加、親しい先輩に相談するなど、パンフレットやホームページだけではわからない情報を収集しましょう。大学院での生活や研究活動への不安の解消につながり、大学院に進学するメリットを実感できるでしょう。

くれぐれも、よく考えず、周囲の状況に流されて大学院に進学することは避けましょう。大学院に行きたいという明確な気持ちを持ち、大学院に進学することが重要です。