進路・資格

大学院で取得できる資格とは?7つの資格の概要と取得方法を解説

資格の中には、大学院を修了することで取得できる資格や、資格試験において科目免除を受けられるもの、大学院を修了しなければ受験資格を得られないものがあります。国家資格や難関資格が多く、取得することで、自身の専門知識やスキル、キャリアの選択肢が広がるでしょう。大学院への進学を検討している方は、大学院で取得できる資格や取得要件について理解しておくことが大切です。

今回は、大学院で取得できる資格や受験資格を得られる資格、科目免除を受けられる資格を合計7つ、紹介します。大学院への進学を考えている方や、それぞれの資格の取得を検討している方はぜひ参考にしてください。

大学院を修了しないと取得できない資格がある

資格の中には、大学(学部)ではなく、大学院に進学して修了しなければ取得できない資格があります。

大学院を修了しないと取得できない資格の例

司法試験の受験資格や臨床心理士の資格を取得するためには、基本的には大学院の修了が必要です(司法試験は、予備試験に合格することで例外的に受験資格を得られます)。
また、大学院で所定の単位を修了することにより、科目免除を受けられる資格もあります。

このように、大学院を修了しないと取得できない、あるいは修了すると取得しやすくなる資格は複数存在するため、大学院に進学することで、将来の選択肢が広がると言えます。

大学で取得できる資格の例

一方、一種・二種教員免許状や学芸員、司書などの資格は、学士(二種教員免許状の場合は短期大学士)の学位に加え、大学や短大で所定の科目やプログラムを修了することにより、取得が可能です。また、医師免許や薬剤師などの資格は、大学を卒業見込み、あるいは卒業することで、国家試験の受験資格を得られます。

これらの資格は、学部でも取得できます。しかし、大学院に進学して高度な専門知識を身につけることで、資格の勉強で得た知識がさらに体系化されるでしょう。ほかの有資格者と差をつけ、より活躍できる可能性も高いです。

挑戦したい資格がある場合は、資格取得要件を確認し、必要に応じて大学院への進学を検討しましょう。

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大学院で取得できる資格

まずは、大学院で実施される一定のプログラムを修了し、修士の学位を有することで取得できる資格を2つ紹介します。

教員専修免許状

教員専修免許状は、大学院で所定の単位を修得し、修了することで取得できる教員免許です。

教員採用試験では、一種免許状が必要であるケースが多いです。しかし、近年では指導教科に関する高度な専門知識やスキルが求められる傾向にあります。私立の高等学校の採用試験を中心に、教員専修免許状を取得していることが評価につながる可能性が高いです。また、就職後、管理職に昇進する際の必須条件となっているケースも見られます。

教員専修免許状を取得するためには、まずは取得したい免許に関する各校種・各教科の一種免許状を取得しましょう。その後、修士(博士前期)課程で専修免許状の取得に必要な科目や単位を修得することが必要です。

参考:文部科学省「教員免許状に関するQ&A」

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MBA

MBA(経営学修士)は、Master of Business Administrationの略であり、経営学の大学院修士課程を修了することで授与される学位です。正確には学位であり、資格ではありません。

起業家や経営者を中心に注目されており、近年では日本国内でもMBAプログラムを実施する大学院が増えています。夜間の授業や通信制の大学院では働きながらMBAの取得に挑戦できます。

MBAのプログラムでは、ビジネスの基礎知識やロジカルシンキング、課題発見・解決力など、実践的な知識やスキルを学べるのが魅力です。大学院で企業の第一線で活躍するビジネスパーソンとの人脈を広げられるというメリットもあります。

MBAを取得していなければできない仕事があるわけではありませんが、一定のビジネススキルを証明でき、管理職への昇進や転職の際に有利になる可能性があります。特に、外資系企業ではそのような傾向が強いです。

大学院で受験資格を得られる資格

ここでは、大学院を修了することで受験資格を得られる資格を紹介します。

司法試験

平成18年から実施されている現在の司法試験の受験資格を得られるパターンは、以下の3つのうちのいずれかです。

法科大学院課程を修了する
司法試験予備試験に合格する
法科大学院課程に在学し、学長から認定を受ける

参考:法務省「令和5年司法試験受験案内」

司法試験予備試験に合格すれば、法科大学院課程を修了しなくても受験資格を得られます。しかし、予備試験の難易度は非常に高いです。

法科大学院に入学してカリキュラムを修了すれば、予備試験を経ずに受験資格を得られます。現在大学生で司法試験を受験予定の方や、社会人で法科大学院に通う余裕がある方は、法科大学院への進学を検討しましょう。

臨床心理士

臨床心理士とは、臨床心理学に基づく知識や技術を活用して、相談者の心の問題にアプローチする専門家です。医療機関や行政、学校などと連携し、地域住民をサポートすることもあります。

臨床心理士になるためには、日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格試験に合格しなければなりません。そして、試験を受けるためには、日本臨床心理士資格認定協会が定める以下の受験資格を満たし、証明書類を提出する必要があります。

受験資格のうち、大学院修了が関係しているのは以下の5つです。

本協会が認可する第1種指定大学院(修了後の心理臨床経験不要)を修了し、受験資格取得のための所定条件を充足している者(「新1種指定校」という)
本協会が認可する第1種指定大学院を修了し、修了後1年以上の心理臨床経験を含む受験資格取得のための所定条件を充足している者(「旧1種指定校」という)
本協会が認可する第2種指定大学院を修了し、修了後1年以上の心理臨床経験を含む受験資格取得のための所定条件を充足している者(「新2種指定校」という)
本協会が認可する第2種指定大学院を修了し、修了後2年以上の心理臨床経験を含む受験資格取得のための所定条件を充足している者(「旧2種指定校」という)
学校教育法に基づく大学院において、臨床心理学またはそれに準ずる心理臨床に関する分野を専攻する専門職学位課程を修了した者(「専門職大学院」という)

出典:公益社団法人日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士資格認定事業」

このように、どの大学院を修了するかによって、修了後すぐに受験資格を得られるか、実務経験が必要か、異なります。臨床心理士の資格を取得したい場合は、受験資格と希望する大学院がどの分類であるかをよく確認しましょう。

臨床心理士になるには大学院に行くべきか?進学すべき大学院も解説

心理職としては、2018年にはじめての国家試験が実施された公認心理師も挙げられます。大学院修了が受験の必須条件ではありません。しかし、主な受験資格の1つが「指定を満たす大学学部卒業+大学院修了」となっており、大学院修了は資格取得に結びつくものと言えます。

大学院で科目免除を受けられる資格

ここでは、大学院で必要単位を取得し、大学院を修了することで科目免除を受けられる資格を紹介します。

公認会計士

公認会計士は、企業の会計監査や財務・税務、経理といった仕事を行う国家資格です。

会計専門職大学院で必要な単位を修得し、学位を授与されることで、短答式試験の財務会計論、管理会計論、監査論の3科目が免除されます。(なお、会計専門職大学院在学中に短答式試験を受ける場合、免除は受けられません。)

公認会計士試験は難関資格であり、3科目分の科目免除を受けられれば、試験勉強の負担は大幅に軽減されます。その分ほかの科目や論文式試験の勉強に時間を割けるため、余裕を持って試験対策を進められるでしょう。

免除を受ける場合は、願書に免除通知書のコピーを添付する必要があります。そのため、出願期間より前に審査会事務局に申請しましょう。

参考:公認会計士・監査審査会「公認会計士試験に関するQ&A」

税理士

税理士は、税務のプロとして、税務業務や税務書類作成の代行、税務調査の立ち会い、税務に関するアドバイスなどを行う国家資格です。

大学院に進学して一定の条件を満たした場合、以下のように試験科目の一部が免除されます。

条件 免除される科目
平成14年3月31日以前に大学院に進学 商学の修士、あるいは博士の学位を有している 会計系の科目
法学または経済学のうち、財政学の修士、あるいは博士の学位を有している 税法系の科目
平成14年4月1日以降に大学院に進学 会計系あるいは税法系の修士論文を執筆して学位を有し、それぞれの科目で1科目以上合格している 会計学に属する科目等の学位を有している 残っている会計系の科目
税法に属する科目等の学位を有している場合 残っている税法系の科目
会計系あるいは税法系の博士論文を執筆して学位を有している 会計学に属する科目等の学位を有している 会計系の科目
税法に属する科目等の学位を有している場合 税法系の科目

参考:国税庁「改正税理士法の『学位による試験科目免除』制度のQ&A」

公認会計士と同様に、免除を受けられれば、試験勉強の負担が大きく軽減するのがメリットです。

試験科目の免除を受ける際は、国税審議会に申請し、認定を受ける必要があります。

税理士になるためには大学院に行くべき?メリットや科目免除制度について解説

弁理士

弁理士とは、特許権や商標権、実用新案権などの知的財産権に関する専門家です。特許出願の書類作成や申請手続きの代行、コンサルティングなどを担当する国家資格です。

工業所有権に関する科目の単位を修得して大学院を修了し、工業所有権審議会の認定を受けた場合、短答式筆記試験の「工業所有権に関する法令」と「工業所有権に関する条約」に関する試験科目が免除されます。ただし、永久に免除されるわけではありません。大学院の課程を修了した日から2年間を経過する日までに行われる、短答式筆記試験が対象です。

さらに、修士学位・博士学位・専門職学位によって選択科目免除資格認定を受けた場合は、論文式筆記試験選択科目が永久に免除されます。

免除を受けるためには、願書を提出する際、併せて免除申請を行いましょう。

参考:特許庁「弁理士試験の案内」

まとめ:大学院を修了して資格を取得し、将来の選択肢を広げよう

大学院を修了することにより取得できる資格をまとめると、以下の通りです。

<大学院修了によって取得できる資格>

  • 教員専修免許状
  • MBA

<大学院を修了することで受験資格を得られる資格>

  • 司法試験
  • 臨床心理士、公認心理師

<大学院で科目免除を受けられる資格>

  • 公認会計士
  • 税理士
  • 弁理士

このように、大学院に進学して修了することによって、さまざまな資格を取得するチャンスが増えます。キャリアに直結する難関資格も多いため、自身の専門性を高めたい方や、将来の選択肢を広げたい方は、大学院への進学を検討してみてはいかがでしょうか。

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