受験準備

大学院進学に必要な研究計画書に記載すべき項目とポイントを解説

大学院を受験する際には、多くの場合、研究計画書の提出が必要になります。ただ、研究計画書は大学(学部)受験するときには求められないことがほとんどであり、なぜ作成する必要があるのか、どんな構成にすべきかなど、疑問が浮かぶ方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、研究計画書を書く目的や書き方などを解説します。研究計画書をどのように作ればよいのか悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

大学院進学にあたって研究計画書が必要になる理由

大学院入試の面接(口述試験)では、今まで自身が行ってきた研究の内容を、教員に説明することが求められます。また、今後の研究の展望や研究に対する熱意があるかどうかも併せて確認されます。

その際、役立つのが研究計画書です。研究計画書は教員に自分が行ってきた研究や熱意をわかりやすく伝え、面接で円滑なコミュニケーションを取る上で役立ちます。

研究計画書の主な項目と書き方

研究計画書を作成する際には、教員に研究内容がわかりやすく伝わるように仕上げる必要があります。しかし、どのように書けばよいか悩む方も多いでしょう。

そこでこの項目では、研究計画書の主な構成と書き方を解説します。もしこれから書くのであれば、以下の内容を参考にしてみてください。

1.研究テーマ

まず、研究計画書を書く際には、研究テーマが必要です。長い文では研究内容を把握しにくいため、「〇〇における△△の研究」のように研究内容を一言で説明するといいでしょう。

ただ、研究内容によっては一言で説明するのが難しい場合があるかもしれません。その場合は無理に一言でまとめる必要はなく、「〇〇における△△の研究 ~◇◇について~」のようにサブタイトルをつけるのも良いでしょう。

2.研究の背景や目的

研究計画書を書く際には、その研究を行うに至った背景や目的の記載も欠かせません。それらを書くことで、自身の研究にどのような意義があるかをハッキリさせられます。

実際に書く際は、なぜこの研究を行うのか、その理由を簡潔にまとめるのが良いでしょう。なお、研究の背景や目的を説明する際には論文や専門書を引用するなどして、根拠や妥当性を示すことが重要です。

そのため、日頃から専門書などを読み、自身の研究に関連する知識を深めておくことが大切です。また、研究内容が社会的にどのような意義があるかを説明するため、研究をするに至った社会的背景に触れるようにもしておきましょう。

3.研究の内容

研究計画書のメインとなるのが「研究の内容」という項目です。この項目では、「研究を通して何を明らかにできるか?」を説明する必要があります。

研究のテーマや背景が明確だとしても、研究内容があいまいでは読み手に理解してもらえないかもしれません。自身の研究内容を伝える重要な部分になるため、できるだけ詳細かつ簡潔にまとめることが大切です。

4.研究の方法

研究の方法も記述すべき項目です。研究方法を記載することによって、得られる効果が適切な方法で収集されたことを示せるためです。実際に書く場合には、何を対象に研究を行い、どのような方法でデータを収集・分析するのかを記載するようにしましょう。

5.期待される効果

研究計画書では、上記で述べた研究テーマや研究方法だけ書けばOKではありません。自身の研究を通してどのような効果が期待されるかも記述する必要があります。

期待される効果を書くことで、その成果によって社会にどのような影響をもたらすのかを把握しやすくなるためです。特に社会人の場合は、何かしら社会的な問題意識をもって受験を決めている場合もあるため、その問題を解決できるということも記述するとよいでしょう。

6.参考文献

最後に、研究計画書を作成する際に参考にした論文や専門書を書きます。参考文献の書き方に関しては、進学を予定している研究分野の形式に合わせるようにしましょう。なお、参考文献の記載漏れがあれば、研究の根拠となる理論やデータの妥当性が失われてしまうため、必ず記載することが求められます。

また、参考文献の明示がないと剽窃(ひょうせつ)として疑われてしまう恐れがあります。そのようなことを防ぐためにも、使用した参考文献はすべて記載し、漏れがないかを提出前にチェックするのが望ましいです。

なお、剽窃とは、広辞苑によると「他人の詩歌・文章などの文句または説をぬすみ取って、人文のものとして発表すること」とあり、他人の著作から部分的に文章や語句などを盗み、制作物の中に自分のものとして用いることを指します。基本的に著作者名を明記しないまま勝手に使う行為すべてが剽窃に該当します。

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研究計画書を書く際のポイント

上記では研究計画書に必要な項目を紹介しましたが、実際に書く際には複数のポイントがあります。質の高い研究計画書を書くために、以下の4つのポイントを踏まえて取り組みましょう。

ポイント1.先行研究をチェックする

研究計画書を作る際には、必ず先行研究をチェックすべきです。なぜなら、自分が行なう研究内容はすでに研究されていることがほとんどであり、そうした先行研究を踏まえたうえで研究を進めることになるからです。

自分がこれから行う研究が、すべて先行研究の範囲であると、研究の意義を明確に示すことができません。実際に研究する際には、今までの研究結果を踏まえ、新たな論点を導き出すことが重要となります。もし先行研究に対して自身の研究内容に”+α”が見出せない場合には、設定したテーマが論じるに値するものなのか再考することが求められます。

ポイント2.人に見せることを意識して作る

研究計画書は人に見せるものであるため、相手が理解しやすいよう仕上げることが重要です。研究の要点を捉えつつ内容を簡潔にまとめ、読み手がスムーズに理解できるようにすることが求められます。また、自身の研究分野を専門としない教員が目を通すこともあるため、専門用語などはできるだけ説明を加えることを意識することも大切です。

加えて、可能であれば、完成後に研究分野に詳しくない第三者に読んでもらうようにしましょう。そうすることで内容がわかりやすいかどうかを判断できます。第三者に読んでもらうことで、誤字脱字などのミスに気づいてもらえる可能性もあります。研究内容が妥当かアドバイスをもらいたい場合には、所属している学部の教員に相談するのも良いでしょう。

ポイント3.具体性を意識する

研究計画書があいまいだと、内容が伝わりづらくなります。また、自身の研究に意義があることを明確に示せないかもしれません。そのようなことを防ぐためにも、研究計画書を作る際には先行研究などを参照するなどし、研究の根拠となる情報を示す必要があります。また、自らの主張は論理的に展開することが大切です。

ポイント4.独自性を明確にする

研究計画書は、独自性のあるものを目指して作るようにしましょう。先行研究との違いや研究を行う目的などを明確にすることで、自身の研究の意義を示すことができます。

独自性を考える上では、先行研究を基に論点が何なのか考えてみましょう。先行研究の見解について批判できる部分や修正できる部分を見つけ、そこに焦点を当てることで独自性のある研究となります。

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研究計画書は事前にしっかり準備しておこう

研究計画書は教員に自身の研究内容を分かりやすく示すために必要な書類です。大学院入試の合否にも大きく関わるため、時間をかけて取り組むことが大切です。この記事の内容を踏まえて質の高い研究計画書を作りましょう。