大学院進学

大学と大学院の違いは?研究内容や入試形式・試験科目の違いを解説!

大学や大学院への進学を控えた学生の中には、大学と大学院の違いについて知りたい方もいることでしょう。学部を卒業して就職するか、大学院に進学するか、迷っている方も多いと思います。

大学院は、目的や役割はもちろん、授業の形式や研究内容なども学部と異なります。修士論文や博士論文執筆に向けた研究指導などもあり、単なる学部の延長ではありません。大学院には、学部での学びの範疇を大きく超えた、高度で専門的な知識・スキルが身につけられる環境が揃っています。

この記事では、大学と大学院の違いについて、目的・役割や授業形式の違い、大学院ならではの研究活動、さらに志望する大学院の決め方や入試の違いなどについても解説します。

大学と大学院の目的・役割とは

大学と大学院では、目的や役割が明確に異なります。

大学(学部)は広く基礎的な知識を身につけ、そこから専門的な知識や能力の習得を目指す場所です。一方、大学院(研究科)は、より高度で専門的な知識・能力を身につけ、とりわけ自立した研究遂行能力も習得する場です。また、大学院での学び・研究を通して、学術・科学技術の発展に貢献するという目的もあります。

これらのことは、学校教育法における大学と大学院の規定からも明確に理解できます。

大学の目的や役割については、学校教育法第八十三条で以下のように規定されています。

「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」

出典:e-Gov法令検索「学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)」

また、大学院の目的や役割については、学校教育法第九十九条で以下のように規定されています。

「大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめ、 または高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い、 文化の進展に寄与することを目的とする。」

出典:e-Gov法令検索「学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)」

大学院の種類

大学院には、以下のような種類があります。

  • 一般的な大学院(基礎となる学部を持つ大学院・独立研究科)
  • 専門職大学院

一般的に「大学院」と聞いて多くの方が思い浮かべるのが、基礎となる学部を持つ大学院です。この種類の大学院は、研究者養成を主な目的としています。また、学部にはない研究科を大学院で別途設ける独立研究科も存在します。独立研究科は特定の学部を基礎として持たないため、さまざま学部や大学から大学院生が集まります。

一方、専門職大学院は、特定の分野において高度で専門的な職業能力のある実務家の養成を目的としています。法科大学院(ロースクール)やビジネススクールなどがその代表例です。

大学院の種類については、以下の記事にて詳しく解説しています。

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大学と大学院の主な違い

大学と大学院の明らかな違いは、通う年数(標準修業年限)と、卒業・修了して得られる学位です。

大学には4年間在学し、所定の単位を修得すると卒業でき、学士号を取得できます。

一方、大学院では博士前期課程(修士課程)に2年間在学します。修了には、所定の単位の修得のほか、修士論文(または特定課題の研究成果)及び修了にあたっての試験に合格することが必要です。修了すると修士号を取得できます。

博士後期課程(博士課程)を修了する場合は3年間在学し、博士論文及び修了にあたっての試験に合格することが必要です。修了すると博士号を取得できます。

それ以外にも、以下のような違いがあります。

  • 授業形式
  • 研究活動
  • 志望大学院の決め方
  • 入試の内容(筆答試験・口述試験、出願書類など)

大学と大学院の授業形式の違い

大学の授業は大人数で教員の講義を聞く形式が多く、少人数の演習(ゼミ)形式の授業の割合は少ない傾向にあります。一方、大学院の授業は、少人数の形式がほとんどとなり、より主体的に授業に参加する必要があります。

文系大学院の場合、ある文献について説明・報告を行い、その内容に関してディスカッションをする文献購読(輪読)や、学生がプレゼン(報告)して進める形式の授業が多いです。理系大学院の場合は、研究室で実験を行い、研究を進めることが多いです。

このように、大学院の授業は少人数のものが多く、レポートやプレゼン発表の機会が多いのが特徴です。また、授業のほかに論文作成に向けた個別の研究指導も行われます。そのため、受け身ではなく主体的に学ぶ姿勢が、学部よりもさらに求められます。

大学と大学院の研究内容の違い

前述のとおり、大学院は大学よりも高度で専門的な知識・能力を身につける場です。そのため研究内容は、大学より専門的かつ高度なものになります。

また、大学と大学院では主な授業形式が異なり、大学院では少人数形式の授業が多いです。教員との距離が近く、教員から密接に細やかな指導を受ける機会が増えます。それゆえ、大学院にはより高度な研究に取り組める環境が揃っていると言えます。

大学と大学院の志望校の決め方の違い

大学の決め方は人によって様々ですが、大まかな志望学問分野と偏差値、知名度などで決める方が多いでしょう。

一方、大学院では、自分が研究したい特定のテーマや、「その教員のもとで学びたい」と思える、指導を受けたい教員の有無などで決める必要があります。

大学と大学院の入試形式・試験科目の違い

大学入試の形式は、大学入学共通テストや大学独自の筆記試験の結果を利用した一般入試が多く、そのほか推薦入試やAO入試などがあります。

大学院でも同様に一般入試が多いですが、推薦入試(学内選考入試)や社会人入試、特定の学生を対象にしたものなど、さまざまな入試形式などがあります。一般入試は多くの方が利用する入試形式であり、基本的には外国語、専門科目(あるいは小論文)、面接(口述試験)が課せられます。出願時には、研究計画書を提出することが多いです。

推薦入試(学内選考入試)は主に、同じ大学の大学院に内部進学をする際に利用されます。仕事をしながら学ぶ人を対象にした社会人入試や、特定の分野について極めて優れた資質を持つ学生を対象にした入学制度を設けている大学院もあります。

試験科目にも違いがあります。大学入試では、高校の教科・科目に基づく英語や数学、国語、理科、社会といった幅広い知識が問われます。一方、大学院入試では、専門分野に関する筆記試験のほかに面接が課されることが多いです。面接では、研究計画書などに基づいて、志望理由や大学院で希望する研究内容などについて質問されます。

大学院入試の面接については、以下の記事にて詳しく解説しています。

https://graduate.chuo-u.ac.jp/media/index.php/2022/04/28/graduate-school-interview/

大学院に進学するメリット

大学院では、研究したい分野を突き詰めて研究でき、学部よりも高い専門性が身につきます。1つのテーマを多角的に分析・検証したり、プレゼン(報告)や発表の場で、自分の考えや研究内容を論理的にわかりやすく伝えたりする機会が多いため、論理的思考力や分析力を養えます。

さらに、教員との距離が近く、学会や勉強会で他大学の教員や実務家などと交流できる機会もあります。将来的に活躍が期待される人との人脈ができるのも、大きなメリットです。

大学院に進学するメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

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大学院は高度で専門的な学びの場

大学と大学院は、そもそも目的や役割が異なります。大学院は、学部レベルを超えた高度で専門的な知識やスキルを身につけられる場です。授業形式や研究内容が大学とは異なり、大学院は研究活動が中心であるためより主体的で高度な学びができます。そのため、志望校の決め方や試験科目なども大学とは大きく変わります。

大学院への進学によって、ある分野への専門性や論理的思考力や分析力を身につけられるうえ、教員や実務家などとの人脈ができるなどのメリットもあります。

突き詰めて研究したい内容が決まっている方は、ぜひ大学院への進学を検討してみてはいかがでしょうか。