研究・教育

大学院の研究では何をする?研究の特徴や学問分野別の研究内容を解説

大学院では、学部よりも専門性の高い研究を行います。また、所属する大学院や研究科によって研究する内容は異なります。そのため「大学院では実際に何を研究するのか」がわからない人も多いのではないでしょうか。

本記事では、学部と大学院の研究内容の違いを中心に解説し、後半では中央大学大学院で研究できる内容を紹介します。

大学院と学部との違い

この項目では、大学院と学部の違いについて解説します。大学院と学部との違いは、以下の通りです。

学部 大学院
学位 学士号 修士号、博士号
学習内容 幅広い一般教養科目と専門科目 専門的な研究と高度な専門知識
授業形式 講義、演習、実験、ゼミなど 講義、演習、研究指導など
教育・研究活動 主に講義や演習による学習 独自の研究テーマの追究と研究活動

学部は、卒業すると学士号が取得できる課程です。学部では、専門科目と幅広い一般教養科目を学ぶのが一般的です。学生は自身の興味や関心に基づいて専攻(専門)を選択し、一般教養科目を履修することで広範な知識を習得します。

自身が専攻する分野については、基礎的な知識やその学問の理論や歴史、研究手法を広く学びます。多くの場合、1〜2年次では講義や演習を通じて幅広く学び、3〜4年次においてより専門的な知識や技能を身につけていきます。

学部では講義、演習、実験などの形式の授業が行われます。一般的には比較的大規模な講義や20〜30名程度の演習が中心で、少人数の授業はゼミナールのみという場合も少なくありません。

一方の大学院は、学士号を取得した後に入学し、修了すると修士号や博士号が取得できる課程です。大学院では、学部に比べてより専門的な研究を行い、高度な専門知識や技能の獲得を目指します。学生は特定の研究テーマに取り組み、独自の研究を行います。

授業形式は講義や演習が中心で、数名から多くて10名程度と、いずれも学部に比べて少人数で行われます。学生は研究成果やアイデアを発表し、ほかの学生や教員とのディスカッションを通じて専門性を深めていきます。また大学院では、教員による研究指導や共同研究が行われることもあります。大学院で研究した成果は、最終的に修士論文や博士論文といった学位論文としてまとめることになります。

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大学院では研究で何する?研究科別で解説

大学院の研究は、多岐にわたるテーマや学問領域で行われます。具体的な研究内容は専攻や学問分野によって異なりますが、以下にいくつかの一般的な研究分野を挙げて紹介します。

  • 法学研究
  • 商学研究
  • 経済学研究
  • 社会科学研究
  • 人文学研究
  • 理工学研究
  • 科学研究

法学研究

法学研究では、法律体系や法的な権利と義務に関する理解を深め、法の適用や司法制度の発展などの研究を行います。

研究活動の学部との違い

学部では、法学の基礎的な知識と法律の理論を学びます。憲法、刑法、民法などの法律の科目を履修し、ケーススタディや法律の解釈を行います。

一方の大学院では、特定の法律分野に焦点を当てて深堀りし、法学の専門性の高い研究を行います。また、独自の研究テーマを選び、学術的な論文の執筆や学会発表を行います。

商学研究

商学研究では、ビジネスやマーケットに関連する組織や消費者の行動、戦略、市場開発などを探求します。

研究活動の学部との違い

学部では、経済学や経営学、会計学などの商学の基礎的な知識を学び、ビジネスに関する理論や実務的なスキルを習得します。

大学院では、商学のさまざまな分野における高度な研究を行います。経済学的な分析や経営戦略、市場調査などのテーマで独自の研究を追求します。

経済学研究

経済学研究では、資源の配分や生産、消費に関わる経済活動を分析し、経済システムや政策に関する理論的な洞察や実証的な研究を行います。

研究活動の学部との違い

学部では、一般的に経済学の基本的な理論と経済現象の理解を重視します。マクロ経済学やミクロ経済学、経済政策などの科目を学びます。

大学院では、経済学のさまざまな領域において学部より発展した研究を行います。例えば、経済モデルの構築や経済政策の評価、経済成長や開発に関する研究などを行います。

社会科学研究

社会科学研究は、経済学や心理学、社会学などの社会科学分野で、人間の行動や社会の仕組みを研究します。例えば、経済成長の要因や貧困削減策に関する研究、人間の意思決定や行動のメカニズムに関する研究などがあります。

研究活動の学部との違い

学部では、社会学や心理学、政治学などの社会科学の基本的な知識を学び、社会問題や社会現象の理解を深めます。

大学院では、社会科学の研究をより深め、社会の複雑な問題や動向に対する分析を行います。また、調査研究や統計分析を活用して研究を進めます。

人文科学研究

人文科学研究は、文学や歴史学、哲学などの人文科学分野で、文化や思想、芸術に関する研究を行います。例えば、文学作品の解釈や文化の変遷に関する研究、倫理や道徳についての研究などがあります。

研究活動の学部との違い

学部では、言語学や文学、歴史学などの人文学の基礎的な知識を学びます。人間の文化や表現を理解することに重点が置かれます。

大学院では、人文学の専門領域において高度な研究を行います。文献研究や言語分析、芸術や哲学の解釈に取り組みます。

理工学研究

理工学研究は、自然科学や工学の要素を組み合わせた学問であり、幅広い研究領域が存在します。電気工学や機械工学、土木工学などの工学分野で、新しい技術やシステムの開発を行います。

研究活動の学部との違い

学部では、理工学の基本的な知識と実験的なスキルを学びます。物理学や化学、工学などの科目を履修し、実験や研究を行います。

大学院では、理工学の特定の分野をより深く追求します。理論的な研究や実験、製品開発などの研究活動を行います。

科学研究

化学研究では、物理学や化学、生物学などの自然科学分野で、新たな知識や発見を追求します。例えば、新しい材料の開発や医薬品の研究、宇宙の起源に関する研究などがあります。

研究活動の学部との違い

学部では、科学の基本的な理論と実験の方法を学ぶのが一般的です。物理学、化学、生物学などの科目を履修し、実験や観察を行います。

大学院では、科学のさまざまな分野において独自の研究を行います。例えば、新しい材料や薬品の発見や理論の提案、応用研究などを追求します。

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大学院での研究内容は指導教員(研究室)や学生によって異なる

実際の研究で何をするかは、大学院のカリキュラムや研究室の方針、研究者としての関心や専門性によって異なります。同じ研究科でも、所属する大学院や指導教員(研究室)によって少しずつ研究内容が異なるので注意しましょう。

また、大学院では各学生が独自の研究テーマを選んで、研究を進めます。学生が何に興味を持ち、どのような目標を持っているかによっても研究内容は大きく変わります。同じ研究室に所属する学生でも、人によって研究内容が異なります。

多くの場合、大学院入試の出願時に希望の指導教員を選択します。早い段階で入学後の研究テーマを考え、自身の興味や目標に合った内容を研究できる指導教員を選ぶことが大切です。教員の専門性についても確認しておきましょう。

https://graduate.chuo-u.ac.jp/media/index.php/2022/08/26/graduate-school-lab/

中央大学大学院では何を研究する?研究科別の研究内容

中央大学大学院における、各研究科の特徴や研究内容を紹介します。詳細は、大学公式ウェブサイトや大学院ガイドブックで確認しましょう。

法学研究科

法学研究科は、公法、民事法、刑事法、国際企業関係法の法律系4専攻と、政治学専攻の計5専攻で構成されています。法学・政治学及びその関連諸分野における高度な研究能力と広く豊かな学識を育み、高度な専門性を身につけられるよう、多岐にわたる要望に応える多様な科目を開設しています。

専門分野に関する科目だけでなく、法学・政治学分野において基礎となる知識の習得や分野横断的な領域の知識の習得を目的とする共通科目や研究者として研究を遂行する上で必要な基礎的な知識や能力の涵養を目的とした科目も複数設置されています。

経済学研究科

経済学研究科では経済理論だけでなく、国際ビジネス、経済開発、金融、環境経済、公共政策、地域経済、会計等、幅広い政策論や応用経済学の研究ができます。具体的には、財政・金融の問題、企業経営や会計、少子高齢化、雇用・労働問題、格差・貧困問題など、さまざまなテーマについて経済学の手法を用いて研究します。

研究者の養成と高度専門職業人の養成の両方を教育目標としており、複雑化した現代社会において、経済学理論に立脚しながらも学部で修得した知識をさらに高度化・専門化しキャリアアップを目指す学生を受け入れています。

商学研究科

商学研究科では、5つの分野(経営学、会計学、商業学、経済学、金融学)に分けて講義・演習科目を展開しています。商学とその関連分野に関する多様な分野をカバーする多くの教育スタッフを置き、高い研究能力と広く豊かな学識を有する研究者や優れた見識と高度な専門性を備えた実務家を養成することを目的としています。

理工学研究科

理工学研究科は、10の専攻(数学、物理学、都市人間環境学、電気電子情報通信工学、応用化学、ビジネスデータサイエンス、情報工学、生命科学、電気・情報系)に分かれているほか、6つの副専攻を設置しています。

理学・工学の理論並びに諸現象にかかわる高度な教育研究を行い、高い研究能力と広く豊かな学識を有する人材を養成することを目的としており、理工学の幅広い分野の研究ができます。

文学研究科

文学研究科は、13の専攻(国文学、英文学、独文学、仏文学、中国言語文化、日本史学、東洋史学、西洋史学、哲学、社会学、社会情報学、心理学)から構成されています。

各専攻での専門性の高い授業科目や研究指導に加え、多様な学問領域を扱う特長を活かした専攻横断的な科目も多く開設されています。各専門領域と横断的な科目を組み合わせることで、広い視野に立った高度な教養を身につけることが可能です。

総合政策研究科

総合政策研究科では、「クロスボーダー社会」において、文化的視野に基づく法政策、公共政策、経営政策などの「政策研究」を専門分野として活躍できる人材の養成を目的としています。「政策と文化の融合・文理融合」を目指し、既存の専門分野理論にとどまらず、関連諸領域を幅広く取り込んだ学際的研究を行うことを目的とした演習を開講しています。

国際情報研究科

国際情報研究科では、ITや情報学と法学を統合し、社会のグランドデザインを主導する人材を育てることを目的としています。

研究分野として、AI・データサイエンス、情報法、社会デザインを掲げており、自動運転車やAIを搭載した製品の倫理的課題、膨大な顧客データのGDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)に準拠した管理、クラウドコンピューティングやオープンAPIによるイノベーションの創出などに関する研究を行えます。

まとめ:自分の興味や目標に合った研究を選択しよう

大学院で何を研究するかは、個々の大学院のプログラムや研究室の方針、指導教員の専門性によって異なります。大学院の入学時には、自身の興味や目標に合った研究分野や研究テーマを選択することが重要です。

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