受験準備

文系大学院へ進学するメリットと入試科目について解説

文系大学院への進学にあたり、修了後の進路を気にする人はきっと多いのではないでしょうか。この記事では、文系大学院で学べること、文系大学院への進学率のほか、修了後の進路について解説します。

文系とは

大学での学びは、人文科学、社会科学、自然科学の大きく3つに分けられます。そのうち人文科学、社会科学の2つが文系、自然科学が理系に分けられます。

人文科学に該当するのは主に次の通りです。
・文学
・言語学
・哲学
・心理学
・歴史学
・考古学
・文化人類学 など

社会科学に該当するのは主に次の通りです。
・法学
・経済学
・経営学
・政治学
・商学
・社会学
・国際関係学 など

自然科学に該当するのは主に次の通りです。
・理学
・工学
・農学
・医学
・宇宙工学 など

文系の学部では、法学部や経済学部、商学部、文学部が代表格です。大学院は、これらの学びを深め、より高度な研究を行うために存在します。

中央大学大学院の文系研究科

中央大学大学院には次の5つの文系研究科があります。

・法学研究科(公法・民事法・刑事法・国際企業関係法・政治学専攻)
・経済学研究科(経済学専攻)
・商学研究科(商学専攻)
・文学研究科(国文学・英文学・独文学・仏文学・中国言語文化・日本史学・東洋史学・西洋史学・哲学・社会学・社会情報学・教育学・心理学専攻)
・総合政策研究科(総合政策専攻)

中央大学大学院には、上記の文系研究科のほか、理系の研究科である理工学研究科があります。また、文理融合とも言える国際情報研究科もあります。

文系・理系あわせて、7研究科32専攻を擁し、人文科学、社会科学、自然科学の3分野をすべてカバーしています。(専門職大学院を除く)

研究科や教員についてはこちらのページで詳しく紹介しています。
https://graduate.chuo-u.ac.jp/

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文系大学院への進学率

大学卒業者のうち、大学院(および専門職学位課程)に進学するのはおよそ10人に1人で、出身学部の分野別に見ると、人文科学4.1%、社会科学2.2%です。理系では、理学40.3%、工学35.6%、農学22.7%であり、文系の大学院への進学率は理系に比べると低いことが分かります。

参考:文部科学省「令和2年度学校基本調査」結果の概要

文系大学院への進学率が低い理由

文系大学院への進学率が低い理由の1つとして、就職活動(就活)の時期との関係が挙げられます。学部生が卒論をまとめあげ研究の面白さに気付く頃には、就職活動を終えて、就職先が内定していることがほとんどです。また、大学院進学後には1年目の後半に就活が始まるため、研究と就活を両立させなければならないこともその理由とされています。

とはいえ、大学院に進学するメリットはいくつもあります。今回はその中から、就職に関するメリットを紹介します。

文系大学院へ進学するメリット

就職に関するメリットとして、専門性の高い職に就きやすくなるという点が挙げられます。専門性が必要とされる研究職や技術職は、修士以上の学歴が求められる場合が多くあり、大学院への進学によって就ける仕事の幅が広がります。

学部卒業後すぐに就職する方が修士(博士前期)課程を修了するよりも2年早く実務経験を積めますが、大学院へ進学することで、学部で過ごす4年間では身につけるのが難しい高度な専門性やスキルを身につけられます。高度な専門性やスキルを重視する職種や会社では、こうした能力を有している人材として、修士以上の学歴を有した者を求めていることが多いです。

自分の専門性や個性が企業にとって有益であることをアピールすることが、就活で必要なことであると言えます。研究課題を解決するスキルを活かし、専門性を発揮できる仕事に就きたい方には、大学院進学は人生の大きな礎になるはずです。

このような点のほかに、大学院へ進学するメリットとして次の2つが挙げられます。

・整った環境の中で研究に集中できる
・初任給が高い

この2点については、こちらの記事に詳しいのでチェックしてみてください。

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文系大学院の入試について

大学院の入試では、多くの場合、筆答(筆記)試験と口述(面接)試験が実施されます。

・筆答(筆記)試験
専門科目または小論文
外国語科目

・口述(面接)試験

大学院の学習や研究の過程では、英語文献の読解やプレゼンテーションなどで一定の英語力が必要な機会が頻繁にあるため、入試でも試験科目として英語が課されることが多いです。研究科や専攻(専門分野)によっては、英語以外の外国語を選択できる場合もあります。

また、専攻する研究分野の知識があるかを問うため、多くの大学院で専門科目や小論文も試験科目として設けられています。さらに、研究計画書の内容や志望動機の確認のために、面接も実施されることがほとんどです。

大学院の入試科目や入試時期、対策についてはこちらの記事に詳しく記載しているので、ぜひ確認してみてください。

大学院入試の時期は?受験までの対策スケジュール・やるべきことを解説大学院に進学するには、入学試験を受ける必要がありますが、受験時期は大学院によって異なります。入試時期を把握して計画的な学習計画を立て、試...

また、中央大学大学院の入試科目や制度、出願の流れについてはこちらの記事で確認できます。
中央大学大学院入試の試験科目や制度、出願の流れを解説!【大学生向け】

文系大学院の研究について

続いて文系大学院の研究について、研究室・講義・論文執筆の3つに分けて説明します。

指導教授

文系大学院でも理系同様に指導教授の指導の下、研究活動を行います。

指導教授のもとで、ゼミや勉強会が定期的に行われます。同期や先輩、後輩と特定のテーマを設定し、勉強会を開くことも少なくありません。また、指導教授によっては厳密な時間割が設定されておらず、学生が自らのペースで研究テーマを深めることが求められます。

研究活動は大学内だけにとどまりません。学会や研究会へ参加し、他の大学や研究機関の研究者と交流することがあります。教員や研究者との交流は、自らの研究の専門性を深める上で役立ちます。

授業

大学院でも学部同様に授業があります。博士前期(修士)課程、博士後期(博士)課程のそれぞれにおいて、各大学院で定められた所定の単位の取得が必要です。

大学院の授業は、学部よりも専門的で高度な内容を扱います。最新の学問の動向や専門分野に特化したテーマが取り上げられることが多いです。ただ授業を聞くだけでなく、ディスカッションをすることもあります。特定のテーマに関して自分の意見・考えをまとめ、発信することが求められます。

論文執筆

文系の大学院生活において、論文執筆は修了に関わる重要なプロセスです。

テーマが決定したら、それに関する既存の研究や文献を調査します。実地調査やインタビュー調査、アンケート調査など、多様なデータ収集方法が用いられます。収集したデータを分析し、自らの研究テーマや仮説と照らし合わせることで、新たな知見や結論を導き出します。

修了論文や博士論文の執筆においては、定期的に指導教授に対して研究の状況を報告したり、執筆中の論文を指導教授に見てもらったりしながら、論文をブラッシュアップさせ、論文の完成を目指します。完成した論文は、所定の手続きを経て所属する研究科に提出し、審査を受けます。所定の単位を修得し、論文審査を通過することで、学位が授与されます。

修了したての大学院生には、即戦力として活躍できるスキルを求めます。文系大学院のカリキュラムは、広範な教養や論理的思考を養成することに重点を置いているため、研究開発やプログラミングなど特定の技術やスキルを要求される場面では、理系大学院卒の学生に比べてアピールが難しくなることがあります。

また、大学院卒は、学部卒と比べて入社する際の年齢が高くなるため、組織内での年齢バランスを考慮する企業にとっては慎重な採用判断が必要となることがあります。

そのため、文系大学院で学んだ経験を企業にどう伝えるかが重要です。たとえば、複雑な情報を整理・分析する能力、異なる視点からの問題解決のアプローチ、コミュニケーション能力など、文系特有の強みをアピールすることで、企業に評価されやすくなります。

さらに、大学院在学中にインターンシップを積極的に経験することで、ビジネスの現場での実践力を身につけることができます。また、プログラミングやデータ解析などの専門スキルを自主的に学ぶことで、実務で役立つスキルを身につけることも可能です。

積極的に行動し、専門知識やスキルを身につければ、就活で不利になることは避けられるでしょう。

まとめ:文系大学院への進学は目的を明確にして学びを深めよう

文系大学院へ進学する際には、目的を明確にし、研究を深めることが重要です。

文系大学院への進学を検討するにあたり、修了後の進路を気にする人はとても多いですが、大学院で学び身につけた専門性とスキルは、社会人としての大きな礎となります。大学院の研究では、テーマとなる課題を見つけ解決する方法を見出していくことになります。この経験が、社会に出て大きく役立つはずです。

中央大学大学院は、総合大学の強みを活かした多彩な研究の場を用意しています。独自の給付奨学金や学会発表補助などの制度を設け、大学院生の研究活動を支えています。特に文系研究科では、博士前期課程から日常の個人研究スペースとして学生研究室を用意しており、研究に没頭できる環境を整えています。興味のある方は気軽にお問合せください。