受験準備

大学院の入試時期や科目は?対策方法も解説

大学院の入学試験に合格するには、事前に入学試験の時期や科目について理解し、出願や受験に向けた準備をしておくことが重要です。

そこで今回は、大学院の入試方式や入試時期、科目、入学試験に向けた対策方法などを紹介します。大学院の入試対策を始めるタイミングに悩んでいる方や対策内容を知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

大学院の入試方式

大学院には、以下のように複数の入試方式があります。

  • 一般入試
  • 推薦入試(学内選考入試・特別選考入試)
  • AO入試(総合型選抜)
  • 社会人入試

大学院の入試制度は多様化しており、入試方式によって受験資格や入試時期、試験内容などが異なるため、まずは自身がどの形式で受験するかを決めましょう。

ここでは、それぞれの入試方式について解説します。

一般入試

一般入試は、大学を卒業した方や卒業見込みの方が受験できる入試方式です。学部とは異なる大学の大学院を受験する場合は、基本的に一般入試で受験することになります。

一般入試では、書類審査と筆記試験、口述試験が課されることが多いです。筆記試験では、専門科目あるいは小論文と、外国語が出題されるのが一般的です。

推薦入試(学内選考入試・特別選考入試)

推薦入試は、一定の条件を満たしている場合に利用できる入試方式です。大学院が指定する一定の成績を収めなければ、受験資格を得られないケースがほとんどです。受験資格を得るのが難しい分、筆記試験が免除されることが少なくありません。

推薦入試は、基本的には学部と同じ大学の大学院に進学する場合に利用できます。しかし、他大学を受験する場合でも、条件を満たしており優秀であることを証明できる場合は、推薦入試を利用できる可能性があります。

AO入試(総合型選抜)

AO入試(総合型選抜)は、大学院や研究科が期待する人物像(アドミッションポリシー)に合致した人材を評価するための入試方式です。学部入試では多くの大学が取り入れている入試方式であり、近年では大学院入試でも採用されています。

AO入試では筆記試験は課されず、書類審査と口述試験が重視されることが多いです。また、学部生と社会人の枠を規定せず、幅広い受験者を対象としている大学院もあります。

社会人入試

社会人入試は、大学卒業後、働きながら学びを深めたい社会人を対象にした入試方式です。働きながら挑戦しやすいよう、筆記試験が免除される、あるいは小論文のみが課されるなど、受験の負担が少なくなっているのが特徴です。

社会人経験や実務によって得た知識などを評価するため、社会人経験に関する要件を課しているケースもあります。

大学院の入学資格と受験資格については、こちらの記事で詳しく解説しています。
大学院の入学資格を解説!入学資格審査や入試方法別の受験資格など

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大学院の入試時期

大学院入試は、9〜10月(秋季入試)や1〜2月(春季入試)に実施されるケースが多いです。秋季入試と春季入試をどちらも実施する大学院もあれば、どちらか片方のみを実施する大学院もあります。秋季入試で欠員が出た場合のみ春季入試を実施するというケースもあるため、受験したい大学院や研究科の入試情報をこまめにチェックすることが大切です。

また、同じ大学院・研究科であっても、課程や入試方式によってスケジュールが変わる場合もあります。どの入試方法で受験するのかを確かめた上でスケジュールを確認しましょう。

大学院の入試時期やスケジュールについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
大学院入試の時期は?受験までの対策スケジュール・やるべきことを解説

大学院の入試内容

多くの場合、大学院の入試では書類審査と筆答(筆記)試験、口述試験(面接)が実施されます。

書類審査

書類審査では、研究計画書や志望理由書といった提出書類の内容が審査されます。その大学院で学びたい理由や研究への熱意、研究テーマや研究計画などが伝わるよう、具体的に記載しましょう。海外の大学院を受験する場合は特に、書類審査が重要です。

筆答(筆記)試験

筆記試験では、主に以下の科目が課されます。

  • 専攻する分野の専門科目
  • 外国語科目(英語、ドイツ語、フランス語、中国語など)
  • 小論文

大学院では、文献の読解やプレゼンテーションなど一定の英語力が必要になる機会が多く、入試では英語が課されるのが一般的ですが、専門分野に応じて英語以外の外国語を選択できるケースも多くあります

加えて、特定の研究分野の知識があるかを問うため、専門科目や小論文も科目として設けられています。専門科目と小論文は、どちらか一方が課されるケースが多いです。

修士課程(博士前期課程)の入試における専門科目では、基本的には学部レベルの知識が問われます。出題形式は、計算問題や語句を説明する論述問題、課題文に対する自分の見解を述べるものなど、大学院や研究科によってさまざまです。

小論文では、一般教養や時事、専門分野に関するテーマなど、幅広いテーマが考えられます。

口述試験(面接)

口述試験(面接)では、研究計画書や志望理由書の内容に基づき、大学院に進学したい理由や研究したい内容、研究計画などが問われます。研究への熱意はもちろん、論理的思考力も審査されるため、質問に対して論理的にわかりやすく回答することが大切です。

大学院入試の対策方法

大学院の入試に合格するためには、前もって対策をしておくことが大切です。ここでは、入試対策について詳しく見ていきます。

募集要項を確認する

大学院入試を受けるにあたり、最初に確認すべきは募集要項(入学試験要項)です。募集要項には、出願期間、試験日程、出願書類、試験内容、出願手続きの詳細など、入試に関する重要な情報が詳しく記載されています。

特に重要なのが、出願書類です。出願書類の種類や書式、提出方法は大学院ごとに異なります。書類に不備があると入試の出願が認められない可能性もあるため、しっかり確認しておきましょう。

英語は1年かけて対策する

英語は1年かけて対策することが推奨されます。大学院では、英語の論文を読む、国際学会で発表するなど、英語を使う場面が多々あります。そのため、入学にあたっては一定程度の英語能力が求められるため、余裕をもって入試対策に取り組み、大学院での学習・研究に対応できる英語力を習得しましょう。

また、大学院や研究科によってはTOEICやTOEFLのスコアの提出が必要になる場合もあります。一定のスコアを取得すれば、外国語試験の受験が免除されたり、大学独自の外国語試験を実施せずに、その代替としてスコアの提出が求められたります。詳細は募集要項に記載されていますので、試験科目や出願書類と併せてよく確認しましょう。

なお、下記の記事では大学院で必要な英語力や勉強法も紹介しています。

大学院生に求められる英語力とは?勉強法も解説大学院では、学部と比べて学会への参加や論文の執筆などで英語を使う機会が増え、より高度な英語力が必要とされるようになります。 今回は...

専門科目や小論文も早めに対策する

専門科目や小論文対策も、早めに進めておきましょう。

専門科目や小論文の出題内容は大学院によって異なりますが、どの大学院でも専門的な知識がなければ入試の問題は解けません。大学院入試に向けて早めに学習を開始し、専門知識を身につけておくことが重要です。日頃から学部の講義の予習・復習を行い、知識を自分のものにする習慣をつけましょう。

自身の研究テーマに関する文献を読み進めたり、指導教員から研究内容に関して指導してもらったりするのも効果的です。

過去問を解いておく

大学院の入試であっても、過去問は大切です。過去問を解いておくことで入試に向けた試験対策をしやすくなるため、事前に解いておくとよいでしょう。過去問は、大学の窓口やウェブサイトから入手できる場合が多いです。受験したい大学院の窓口に問い合わせるか、ウェブサイトで確認しましょう。

中央大学大学院の過去問については、こちらの記事で詳しく解説しています。
中央大学大学院の過去問を確認する方法を解説

面接対策も忘れずに行う

面接では大学院入学後の研究計画や志望動機に関する質問が重点的に行われます。そのため、研究計画や志望理由が面接官に伝わるよう、事前に準備をしておくことが大切です。面接では、研究計画書や卒業・修士論文をもとに掘り下げた質問をされることが多いです。内容を簡潔かつ論理的に伝えられるよう、事前に質問を想定しながら話す内容を考えておきましょう。

また、大学院によって面接の形式はさまざまです。個人面接が一般的で、研究内容について

プレゼンするよう求められることもあります。募集要項や教員(研究室)訪問の際に、先輩の話を通じて情報収集しておきましょう。

大学院入試の事前対策については、こちらの記事で解説しています。
大学院入試の面接で聞かれる質問は?評価されるポイントや事前対策を徹底解説

大学院入試で準備すべきもの

大学院入試では事前に以下の書類を準備しておく必要があります。

  • 入学願書
  • 大学・大学院の卒業・修了(見込)証明書と成績証明書
  • 研究計画書
  • 修士論文・卒業論文

また、大学院や研究科によっては、その他にも複数の書類の提出が求められることがあります。募集要項を確認し、早めに準備を進めることが大切です。

入学願書

入学願書は、大学院への入学を希望することを正式に表明する書類です。願書には氏名、連絡先、学歴などの個人情報の記載が必要です。また、一部の大学院では、志望動機や研究経験などを書くことも求められます。

入学願書の提出手続きの方法や提出期限は大学によって異なります。募集要項に記載されているため、事前に確認しておくことが重要です。

大学院の卒業・修了(見込)証明書と成績証明書

大学卒業(見込み)証明書や成績証明書は、大学で取得できます。発行までに1〜2週間程度かかる可能性もあるため、余裕を持って準備することが大切です。

研究計画書

研究計画書は、大学院に入学した後に、何を研究したいのかを詳細にまとめた文書です。大学院では、自分の興味に基づきテーマを決めて研究を行うため、研究計画を明確にすることが非常に重要です。

研究計画書には、以下のような項目を記載しましょう。

  • 研究テーマ
  • 研究の目的
  • 研究の背景
  • 研究の方法
  • 研究によって期待される成果
  • 参考文献

研究計画書を作成するポイントについては後述します。

修士論文・卒業論文

一部の入試では、卒業論文(博士後期課程の場合は修士論文)の提出が求められる場合があります。博士後期課程の入試の場合には、修士論文の提出がもとめられることがほとんどです。卒業論文や修士論文は、学部あるいは博士前期課程(修士課程)での研究結果や研究能力を示すための重要な資料です。また、大学院入試の面接等でこれらの論文や研究計画書について質問される場合があります。自分の研究テーマについて深く理解し、論理的に説明できるようにすることが重要です。

その他必要書類

その他にも、以下のような書類の提出が求められることがあります。

  • 推薦書
  • 健康診断書

推薦書が必要な場合は、大学の指導教員に推薦書を作成してもらえるか相談しましょう。

また、健康診断の結果を提出しなければならないケースもあります。検査項目は募集要項に記載されているため、確認して早めに健康診断を予約しましょう。

研究計画書を作成するポイント

研究計画書を作成する際は、以下のポイントを意識しましょう。

  • 研究計画や目標に具体性を持たせる
  • わかりやすい構成を心がける
  • 研究ビジョンを明確に記載する
  • 作成後は誰かにチェックしてもらう

ここでは、大学院入試に向けた準備の中でも特に重要な、研究計画書の作成ポイントについて解説します。

研究計画や目標に具体性を持たせる

研究計画書には、取り組みたい研究内容や実験手法などを具体的に記載することが大切です。計画や目標に具体性を持たせることで、わかりやすく実現可能性のある研究計画書を作成できます。

わかりやすい構成を心がける

内容が伝わりやすくなるよう、わかりやすい構成を心がけることも欠かせません。内容を序論・本論・結論の大きく3つに分け、各段落は結論ファーストで記載するようにしましょう。

研究ビジョンを明確に記載する

研究に対する熱意を伝えるために、研究ビジョンを明確に記載することも大切です。自身が大学院で何を学び、研究環境や資源をどのように活用して研究を進めるかのビジョンを示しましょう。

作成後は第三者にチェックしてもらう

研究計画書を作成したら、ゼミや研究室の教員や友人など、第三者にチェックしてもらうことをおすすめします。客観的に見直すことで、伝わりにくい部分はないか、研究計画やテーマに問題はないかなどを確認できます。自分では気づけなかったミスを発見できる場合もあるでしょう。

研究計画書に記載する主な項目については、以下の記事でより詳しく解説しています。併せて参考にしてください。

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大学院の入試対策は準備が大切

大学院の入試に合格するためには、入学後の研究計画を立てると同時に、専門科目や英語、面接など、試験当日の対策も前もって進めることが大切です。試験に合格するために、入試時期や試験科目といった情報を把握した上でスケジュールを組み、学習に取り組むようにしましょう。

特に、英語や専門科目の入試対策は入学後に研究を深めるためにも必要となる知識・能力の修得になるので、早い段階から取り組むとよいでしょう。

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