大学院では、学部と比べて学会への参加や論文の執筆などで英語を使う機会が増え、より高度な英語力が必要とされるようになります。
今回は、大学院生活で英語を使う場面や、大学院で求められる英語力、英語力を身につける方法を解説します。
大学院生が英語を使う機会
大学院では、なぜ英語を使う機会が増えるのでしょうか。
この項目では大学院生活で英語を使う機会について解説します。
英語論文の読み書きを行う
大学院における研究では、英語をはじめとする外国語の文献を読む機会が増えます。特に、英語は国際的な共通言語であるため、研究活動において英語の論文を読む機会は非常に多いでしょう。
自身が学会発表や論文の投稿を行う際も、英語で論文を執筆することもあり、英語の論文を読み書きできる力が求められます。
授業や学会
大学院では英語で行われる授業もあるため、英語で話を聞くことや、研究内容を発表することもあります。
また、研究が進むにつれ、国際学会に出席する機会や海外の研究者とコミュニケーションをとる機会なども出てきます。英語をある程度使いこなせなければ、スムーズに交流することは難しいでしょう。
中央大学大学院の英語で開講されている授業一覧
中央大学大学院では、英語で開講されている授業もあります。
各研究科の英語で開講されている主な授業科目は以下の通りです。興味のある方は参考にしてください。
研究科 | 科目名 |
法学研究科 | 外国法研究1 |
JAPANESE LAW 1 | |
JAPANESE LAW 2 | |
特殊講義(Introduction to Japanese Law) | |
特殊講義(Comparative Constitutional Law) | |
特殊講義(Contemporary Challenges in the Law of the Sea) | |
特殊講義(Special Lecture (International Law From Japanese Perspectives) | |
特殊講義(Comparative Criminal Law and Criminal Procedure) | |
特殊講義(Comparative Financial Law and Regulation) | |
特殊講義(Human Rights in a Globalized World) | |
特殊講義(Comparative Privacy and Data Protection Law) | |
特殊講義(Law and Society 1) | |
特殊講義(Law and Society 2) | |
行政学特講1(Advanced Introduction to Public Management) | |
行政学演習1(Public Governance) | |
外国法研究2 | |
特殊講義(Comparative Criminal Law and Criminal Procedure(B)) | |
行政学特講2(Advanced Introduction to Public Management) | |
行政学演習2(Public Governance) | |
商学研究科 | マネタリー・エコノミクスⅠ |
金融システム論Ⅰ | |
文学研究科 | 英語表現演習Ⅰ |
英語学研究(心理言語学)A | |
英語学研究(心理言語学)B | |
英語学研究(音声学・音韻論)A | |
COMMUNITY PSYCHOLOGY | |
ACADEMIC WRITING AND PRESENTATION SKILLS IN PSYCHOLOGY | |
総合政策研究 | 現代外交史 |
理工学研究科 | 理工学英語セミナーⅠ |
非線形物理学特論第三 | |
認知行動・実験経済学 | |
河川管理論 | |
応用心理学 | |
偏微分方程式と数値解析 | |
エコロジカル・プランニング | |
沿岸防災学 | |
応用認知脳科学 | |
都市生態学 | |
計算固体力学 | |
応用水環境システム工学 | |
応用持続可能性科学 | |
マイクロマシン特論 |
留学生とコミュニケーションをとる場面
大学院には留学生も多く在籍しているため、研究だけでなく日常でも英語を使う機会が増えます。日本語でのコミュニケーションが中心となる場合もありますが、英語の方が得意な留学生も多く、英語での会話が求められる場面が多いです。
留学先では英語力が必須
大学院在学中に、海外大学院への留学を考えている場合は、当然英語力が必須です。
留学先では、英語はコミュニケーションの手段です。英語ができなければ、留学後に授業についていけなくなったり、周囲と意思疎通ができなかったりと、苦しい思いをするでしょう。
英語力が原因で留学を諦めることがないよう、将来留学する可能性も見据えて、はやめに英語力強化に取り組むことが大切です。
大学院留学を目指す場合に必要な英語試験のスコアの目安は、以下の通りと言われています。
- TOEFL iBT:80〜110
- TOEIC:900点以上
- IELTS:overall 6.5〜8.0
大学院入試でも英語試験が課せられる
大学院入試でも、一般入試では、専門科目の筆答試験や口述試験(面接)のほかに、外国語についての試験が課せられるケースがほとんどです。
英語のほかに、ドイツ語やフランス語、中国語といった外国語を選べることもありますが、多くの方が長年勉強している英語を選択します。
大学院入試の英語では、リーディングとライティングの問題が課せられることが一般的です。
しかし、大学独自の語学試験の代わりにTOEICやTOEFLといった外部の英語試験のスコアを利用できることもあり、リスニングやスピーキングが必要になることもあります。
院試対策においても、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングをバランスよく鍛えましょう。
大学院で求められる英語力
続いて、大学院ではどのような英語力が求められるのかを解説します。
英語の学術論文の読み書きをする力
大学院では英語の学術論文を読む機会が増えるほか、自らも英語で論文を書く機会が出てくるため、英語を使って学術論文を読む力、書く力が求められます。特に、専門分野の学術論文に触れる機会が多く、自分の専門分野の用語や表現を知っておく必要があります。
英語でプレゼンテーションする力
学会の発表などでは英語でプレゼンテーションを行う機会もあります。プレゼンテーションの意図を理解してもらうには、自分の考えや意見を端的にまとめ、分かりやすく説明する英語力が必要です。
日常的な英会話力
大学院では留学生や海外の研究者と交流する機会があるため、日常で使う英会話力も求められます。学術的な英語だけではなく、カジュアルにコミュニケーションをとる英語力も必要となるでしょう。
大学院で求められる英語力を身につける方法
この項目では、大学院入試や大学院生活で求められる英語力を身につける7つの方法を解説します。
- 単語・文法の復習をする
- 英語資格の勉強をする
- 英語の学術論文を読む
- 留学生と英語で話す
- 英語を使う講義を積極的に受ける
- 毎日英語日記をつける
- アメリカ英語・イギリス英語以外の英語を聞く
単語・文法の復習をする
単語は英語を読んだり話したりする力の基礎となるので、毎日勉強しておきましょう。専攻する分野の専門用語を中心に学術的な単語を中心に学習しておくと効果的です。
文法は高校・大学(学部)レベルの内容を復習しておきましょう。
英語資格の勉強をする
TOEICやTOEFL、IELTSなどの英語能力試験の勉強をすれば、大学院の授業や日常会話で必要な英語力を養えます。特にTOEFLは、TOEICに比べ学術的な内容を問う問題が多いので、大学院で必要な英語力を身につけるきっかけになります。
英語能力試験は入学試験でも役立ち、TOEFLやTOEICのスコアを参考にする大学院も多くあります。高得点を取れば合格にも近づくので、前もって学習しておきましょう。ただし、TOEICではビジネス英語が中心に出題されるので、TOEICの学習を行う場合は学術的な英語の勉強も重要になります。
英語の学術論文を読む
英語の論文を読むことで、大学院の研究で必要なアカデミックな英語力が身につきます。とりわけ、専門用語のようなこれから始める研究に役立つ語彙力を身につけるのに効果的です。英語の学術論文は大学の図書館やGoogle Scholarなどのインターネット情報サイトにあります。自身の研究分野に関する文献を読む習慣を身につけておくとよいでしょう。
留学生と英語で話す
大学内では、授業中はもちろん研究室などあらゆる場所で留学生と積極的に会話することによって、日常の生活の中でも英語でのコミュニケーション力を養うことができます。
英語を使う講義を積極的に受ける
英語を使って報告やプレゼンテーションする授業に積極的に参加すれば、アカデミックな分野で役に立つ英語力を鍛えられます。今在学している大学で、英語で開講されている講義があれば、積極的に受講しておくのがおすすめです。
特に、英語でプレゼンテーションをする機会が豊富な授業を受講すれば、スピーキングの練習になります。発表資料の作成や原稿の暗唱、発音の練習など、練習のために積極的に英語を使う必要があります。また、質疑応答に対応するために、英文を聞いて素早く理解し、臨機応変に回答しなければならず、英語力を多方面から鍛えられるのがメリットです。
毎日英語日記をつける
ライティングスキルを身につけるためには、手帳やSNSなどに英語日記をつけることがおすすめです。
毎日続けることにより、ライティングで使える表現の幅が増え、自分の言いたいことをスムーズに英語にできるようになります。英語特有の「結論ファースト」の構造で文章を書く練習にもなり、論理的にわかりやすい文章を書く特訓にもなります。
また、毎日のできごとや感想を英語にするため、日常生活で使用する機会が多い単語や表現が自然と身につくのもメリットです。留学生や海外の研究者との交流を楽しめるようになるでしょう。
はじめから気合を入れすぎると、挫折する可能性があります。1日少しずつでもよいため、毎日継続することを意識しましょう。
アメリカ英語・イギリス英語以外の英語を聞く
留学生や海外の研究者が話す英語を理解するためには、アメリカ英語やイギリス英語以外の英語を積極的に聞く機会を設けましょう。
留学生や研究者が全員アメリカやイギリス出身であるとは限りません。たとえば、インド出身の方が話す英語は「ヒングリッシュ」とも呼ばれ、訛りが強くて聞き取りにくいのが特徴です。ほかにも、英語が母国語ではない国は多く存在します。聞き取りやすいアメリカ英語やイギリス英語ばかり聞いていると、実際の会話で聞き取れない、というケースも珍しくありません。
動画投稿サイトでさまざまな国の動画を視聴したり、各国のスピーカーが話す英語が収録されたCDを使ったりして、アメリカ英語・イギリス英語以外の英語を聞く習慣をつけましょう。
院試対策にも使える!英語力をアップさせる勉強法のコツ
最後に、英語力を向上させる勉強法のコツを紹介します。
- 英単語の学習は回転率を上げる
- 英文の情報を英語のまま理解しようとする
- シャドーイングを取り入れる
- リスニングの音声を1.5倍速にする
コツを理解すれば、英語学習の効率が格段にアップするでしょう。
英単語の学習は回転率を上げる
英単語を学習する際は、1単語に時間をかけるのではなく、回転率を上げましょう。英単語は勉強しても、時間とともに忘れてしまいます。エビングハウスの忘却曲線によると、1日経過しただけで、記憶は33%しか残らないとされています。何度も復習を繰り返すことで、より記憶に定着しやすくなるでしょう。
たとえば、10日間で100単語を身につけたい場合は、10単語を10日間勉強するのではなく、1日100単語を10日間勉強し続けるほうが効率的です。
英文の情報を英語のまま理解しようとする
リーディングのスピードを上げるためには、英文を英語のまま理解する習慣をつけましょう。
大量の論文を読み込んだり、大学院入試のリーディングを時間内に解ききったりするためには、英語を読むスピードを上げる必要があります。
日頃から、英語をイメージでとらえることが大切です。たとえば、「There is an apple on the desk.(机の上にりんごがあります。)」という英文を読んだときに、日本語に訳してから意味を理解しようとする人と、机の上にりんごが置いてあるイメージを思い浮かべて意味を理解しようとする人であれば、後者の方がすぐに英文の意味を把握できるでしょう。
もちろん、専門用語が多い難解な英文は、丁寧に訳しながら理解する必要があります。しかし、簡単で短い英文については、英語を英語のまま、つまりイメージで理解できるようになれば、英文を読むスピードが速くなります。
シャドーイングを取り入れる
リスニングやスピーキングを強化するためには、シャドーイングがおすすめです。
シャドーイングとは、英語を聴き、1、2語遅れで音声を追いかけるように発音する勉強法です。もともとは通訳の訓練法ですが、リスニングやスピーキング力の向上に効果的な勉強法として知名度が高まり、一般の英語学習にも多く取り入れられています。
シャドーイングは、以下の順番で行いましょう。
- まずは音声を集中して聴く
- スクリプトを見ながら音声を聴く
- 1文流して音声を止め、リピートする
- 音声を聴きながら、スクリプトを見て一緒に音読する
- スクリプトを見ながら、音声に少し遅れて音読する
- スクリプトを見ずに、音声に少し遅れて音読する
シャドーイングは、音声とスクリプトがあれば簡単に始められるため、普段の英語学習にシャドーイングを取り入れてみましょう。
リスニングの音声を1.5倍速にする
リスニングの音声を1.5倍速にするのも効果的です。
速いスピードに慣れると、通常速度の音声が遅く聞こえ、より聞き取りやすくなるでしょう。また、1回のリスニングにかかる学習時間を減らせるため、忙しい毎日の中で効率的に勉強したい方にもおすすめです。
まとめ:大学院入学前から学術的な英語に触れておこう
大学院では学部と比べて、論文の読み書きや講義、留学生とのコミュニケーションなどを通じて、英語を使う機会が多くなります。英語力がないと研究がスムーズに進まない可能性もあるため、日頃から英語学習に取り組んでおくことが望ましいです。単語や文法を復習して論文を読むなど、大学院での学びに役立つように、入学前からアカデミックな英語力を身につけておきましょう。