大学院は大学(学部)とは全く異なる教育機関であり、専門性をさらに高められる場所です。大学院への進学を検討するにあたっては、まず大学院の概要を把握しておく必要があります。本記事では大学院の概要や進学するメリット、進学までの流れを解説します。
大学院とは
大学院とは、大学の学部で学んだ知識を基に発展的・応用的な研究を行う教育課程で、主に研究者の養成を目的としています。また、社会経済の各分野において指導的役割を果たす、専門的な職業能力を有する人材の育成も目的としています。
大学院では、専門分野に精通した教員に指導を受けながら自分の研究に打ち込むことが可能です。大学院はさらに専門性に特化しているのが、大学との主な違いだと言えます。
大学院の種類
大学院は、主に以下2つの大学院があります。
- 一般的な大学院
- 専門職大学院
一般的な大学院は、研究者や大学教員として研究活動に取り組む高い研究能力と、その基礎となる学問的な知識を養うことを目的としています。研究者や大学の教員を目指す人はもちろん、国際機関、国内の公的機関、各種専門職などの高度な能力を用いて職務に従事することを目指す人が、必要な知識や能力を修得する場でもあります。
一方、専門職大学院とは、従来の研究者養成を目的にせず、高度で専門的な職業能力のある実務家を養成する大学院です。現場での問題解決を図るために、必要な知識と技能の獲得を目指した教育が行われます。法科大学院(ロースクール)などが専門職大学院の代表例です。
大学院の種類について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
https://graduate.chuo-u.ac.jp/media/index.php/2022/04/28/graduate-school-merit/
修士課程と博士課程の違い
大学院は、修士課程(博士前期課程)と博士課程(博士後期課程)に分かれています。
修士課程(博士前期課程)は、原則としての在学期間は2年間です。一般的に修士課程では、2年間、大学院に通うなかで授業科目で所定の単位を修得し、自身の研究を行って修士論文を提出します。
博士課程(博士後期課程)は、原則としての在学期間は3年間です。博士課程では、修士課程ほどの授業科目で修得する必要がある単位は少なく、3年間のほとんどが指導教員の指導を受けながら自身の研究活動を進める時間となり、博士論文を提出します。
修士課程(博士前期課程)を修了した後に授与される学位を「修士号」、博士課程を修了した後に与えられる学位を「博士号」と言います。
以下の記事では大学院の課程について詳しく説明しているので、合わせてチェックしてみてください。
学びの制度
大学院によっては、以下のような通学制度や履修制度が設けられています。
▼通学制度
一般的な昼間の通学制 | 平日昼間と土曜に開講している一般的な制度 |
昼夜開講制 | 通常の平日昼間に加えて夜間や休日に講義を行う制度 |
通信制 | 通学が困難な人が在宅等で講義を受けられる制度 |
▼履修制度
長期履修制度 | 仕事や家事などと並行して大学院へ通う人を対象にした、修士課程の履修期間を3〜4年の長期に定める制度 |
早期修了制度 | 通常2年の修士課程を1年という短い期間で履修できる制度 |
科目等履修生・聴講生制度 | 正規の学生としては大学院へ入学せず、自分の受けたい科目だけを履修・聴講できる制度。聴講の場合は、単位の取得は不可。 |
かかる学費(2022年度時点)
学費は大学院や研究科によって異なります。国立大学の大学院学費は一律で定められており、初年度の学費は授業料520,800円、入学料28,200円です。ただし法科大学院のみ、授業料は年間804,000円と定められています。
一方、私立大学院の初年度にかかる学費は、国立大学より高い傾向です。授業料・入学料・施設設備費等の合計を含んだ金額で、修士(博士前期)課程で100万円、博士(博士後期)課程で85万円、専門職学位課程で140万円ほどと言われています。
参考:私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
参考:国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
大学院へ進学するメリット
続いて、大学院へ進学するメリットについて解説します。大学院へ進学するメリットは主に2つあります。
- 整備された環境で研究に没頭できる
- 就職先の選択肢が広がる
整備された環境で研究に没頭できる
大学院の授業は学部の授業に比べて専門性が高く、専門分野に精通した教員のもと研究に集中できます。研究環境も整備されているので、自分のやりたい研究に没頭できるでしょう。また、同じ分野に関心を持つ他の大学院生と交流できるため、お互いに高め合いつつ研究における新たな視点を獲得できます。
就職先の選択肢が広がる
大学院で学位を取得すると本人の専門性やスキルが高く評価される傾向があり、就職先の選択肢が広がる可能性があります。例えば、以下のような就職先が挙げられます。
- 研究者・大学教員
- 士業(税理士・司法書士等)
- 公務員
- 教職(中学校・高等学校教員 特に私立)
- 専門職(学芸員・心理職等)
- 民間企業
特に研究職や士業など高い専門スキルが求められる職は、修士号以上の学位でないと難しいケースが多いです。
大学院進学までの流れ
ここでは、大学院進学までの流れとやるべきことを紹介します。
- 説明会へ参加する
- 受験する入試方式を決める
- 研究計画書などの出願書類を作成する
- 入試対策・受験
1.説明会へ参加する
まずは大学院説明会へ参加します。近年はオンラインで開催するケースも多く、参加のハードルも低くなっています。
説明会では、入学試験や入学後の各種制度等の話を聞くことができます。さらに、実際に指導を担当している教員から大学院での学びや研究にまつわる話を聞けたり、現役の大学院生の様子や研究内容を知ることができる絶好の機会です。
公式ホームページなどではわからない情報を大学院説明会で知ることができるので、気になった大学院の説明会には積極的に参加するといいでしょう。
中央大学大学院でも説明会を実施しています。詳細は以下のページを参照してください。
https://graduate.chuo-u.ac.jp/
2.受験する入試方式を決める
多くの大学院では、秋季入試(8〜11月頃)、春季入試(1〜3月頃)のどちらか、あるいはその両方で実施されます。入試形式も大学院によってさまざまですが、例えば以下のような試験があります。
- 一般入試
- 推薦入試、特別選考入試
- 社会人入試
- 外国人留学生入試 など
中央大学大学院では、秋季試験は9月〜10月、春季試験は1月〜2月にかけて行われます。なお、中央大学の在学生を対象とした特別選考入試については、4月にも実施されています。
入試について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
3.研究計画書などの出願書類を作成する
出願するにあたって、まずは書類の準備をします。数ある提出書類のなかでも「研究計画書」は特に重要な書類です。研究計画書とは、大学院に入ってから研究するテーマや研究内容の概要をまとめる書類です。自分のやりたい研究の意義や内容を分かりやすく整理する必要があるため、制作には時間がかかります。
研究計画書のほかにも、卒業(見込み)証明書や成績証明書、志望理由書などを準備する必要があります。
4.入試対策・受験
大学院入試では、多くの場合で筆答(筆記)試験と口述(面接)試験が設けられています。筆答試験の一般的な科目は、専門科目と外国語科目(英語等)です。筆記試験は過去問を踏まえて出題傾向や難易度を掴み、対策を練る必要があります。
また、面接試験では研究計画書や志望理由書の内容が深掘りされるケースが多いので、面接前に提出した書類に目を通しておくことが重要です。
まとめ
大学院とは、大学の学部で学んだ知識を基に、応用的・発展的な研究を行う教育課程です。大学院では整備された環境で研究に没頭でき、さらに修了後の就職先の幅も広がるというメリットがあります。
大学院に通うメリットや学びの制度、入試の流れを踏まえて、大学院に進学するか・どの大学院へ進学したいかを検討してみましょう。
▼中央大学大学院の公式ホームページはこちら
https://graduate.chuo-u.ac.jp/
▼中央大学大学院の資料請求はこちら
https://www.chuo-u.ac.jp/admission/gschool/guidebook/