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大学院卒と学部卒の主な違い|メリット・デメリットもわかりやすく解説

大学院の課程を修了し、修士や博士の学位を授与された人を院卒と呼ぶことが多いです。現在、大学(学部)に在学している方のなかには、大学を卒業後、就職するか大学院に進学してから就職するか、悩んでいる方もいることでしょう。

本記事では、大学院卒と学部卒の主な違いについてわかりやすく解説します。それぞれの就職するメリットやデメリットも紹介するため、どちらに進もうか悩んでいる場合にはぜひ参考にして下さい。

大学院卒と学部卒の主な違い

大学院卒と学部卒の主な違いについて解説します。ここでは、初任給や給与、キャリア、待遇など複数の点で比較していきます。

初任給

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、院卒と学部卒の新規学卒者のひと月の賃金は以下の通りです。

大学の新規学卒者の賃金 大学院の新規学卒者の賃金
男女計 約237,300円 約276,000円
約240,300円 約283,200円
約234,300円 約260,800円

参考:新規学卒者|令和5年賃金構造基本統計調査

男女によって差があるものの、大学院の新規学卒者は大学卒よりも、3〜4万円程度、賃金が高いです。なお、学部卒のほうが院卒者より2年早く就職しており、同年齢ではないことに注意してください。

参考:「令和5年賃金構造基本統計調査

給与・年収

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、院卒と学部卒の年間の賃金の平均は以下の通りです。

学部卒の賃金 院卒の賃金
男女計 3,694,000円 4,767,000円
3,999,000円 4,911,000円
2,992,000円 4,078,000円

出典:学歴別|令和5年賃金構造基本統計調査

学部卒者の賃金(男女計)は約369万円であるのに対し、院卒者の賃金(男女計)は約477万円となっており、100万円以上の差があります。

初任給での比較では月3〜4万円の差でしたが、平均給与の比較では100万円以上の差異があることから、院卒者の方が学部卒者よりも賃金が伸びやすいことがわかるでしょう。

参考:「令和5年賃金構造基本統計調査

キャリア

院卒と学部卒では、卒業・修了後のキャリアにも違いがあります。院卒者は専門性やこれまでの研究を活かし、専門性の高い特定の職種の職務を行うことが一般的です。一方、学部卒者はさまざまな部署を経験し、管理職に進むことが多いです。

ただ、近年では、特にIT系や外資系企業での上級の役職は、社内公募の手続きが取られることがあります。その際、その人がどのような知識を有しているか、どのような学位を持っているかということをもとに選考されることもあります。

そうした場合、より上位の役職に就くために、大学院を修了し、必要な知識や学位を取得していることが必要になってきます。院卒者が、単純に専門性の高い職務だけを続けるとは限らない環境も増えてきているためです。

院卒と学部卒において、どちらのキャリアが優れているとは一概に言えません。ただし、学部卒者は院卒者に比べ少なくとも2年早く社会に出るため、同じ年に学部を卒業した院卒者と学部卒者が同じ会社に就職した場合、院卒者が学部卒者の後輩となる可能性があることを心に留めておきましょう。

待遇

院卒者、学部卒者が同じ会社に正社員として就職する場合、給与以外の待遇面で大きな差が出ることはないでしょう。基本的に、福利厚生や労働環境はほとんど同じです。

なお、前述の通り、学部卒者はさまざまな部署を経験して管理職に進む傾向があるため、院卒者よりも経験する部署の数が多いのが一般的です。部署を移動すると労働環境の変化に伴い、待遇が変化することがあるでしょう。

就活で企業から求められること

院卒者や学部卒者が就職活動(就活)を行う際、企業から求められること、評価されることは異なります。

院卒者は大学院で身につけた専門知識やスキルを活かし、即戦力として活躍することが期待されていることが多いです。一方、学部卒者は入社後に育成するものと多くの企業が認識しており、柔軟性や成長意欲などを求められることが多いです。

大学院卒で就職するメリット・デメリット

大学院卒で就職するメリットは、以下の通りです。

  • 給与が高い
  • 研究職・専門職に就職できる

先述した通り、大学院卒は初任給・給与ともに学部卒者よりも高いです。また、研究職など専門性の求められる職種には、大学院卒を応募資格に設定していることがあり、学部卒者よりも応募できる職種の幅が広がる点もメリットです。

一方、大学院卒で就職するデメリットとして、以下が挙げられます。

  • 大学院への進学費用がかかる
  • 学部卒者よりも就職時期が2年遅くなる

院卒者は学部卒者よりも給与が高く、長期的に働けば、学部卒者よりも進学費用以上に多くの給与を得られます。しかし、大学院を修了するまでの間は、就職していない状態で学費を支払わなければなりません。

また、院卒者は学部卒者よりも実務経験を積むのが2年遅いです。できるだけ早く社会人としてのスキルを身につけ活躍したいと考える人にとっては、デメリットと言えるでしょう。

大学院への進学が向いている人の特徴

これらのメリット・デメリットから、大学院への進学が向いている人の特徴は、以下の通りです。

  • 専門性を追求したい特定の分野がある人
  • 研究職に興味がある人

大学院修了者は、大学院での学修・研究活動で身につけた特定の分野の深い知識を活かし、活躍できます。すでに専門性を追求したい特定の分野がある人や、将来的に研究者として働きたい人は、大学院を修了してからの就職が向いています。

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学部卒で就職するメリット・デメリット

学部卒で就職するメリットは、以下の通りです。

  • 院卒者よりも2年早く実務経験を積める
  • ポテンシャルを重視されやすい
  • 大学院に進学した場合の学費がかからない

学部卒者の就活ではポテンシャルを重視される傾向にあるため、専門知識がなくても採用してもらいやすくなっています。また、大学院に進学した場合の費用がかからないため、経済的負担が少ない点もメリットです。

一方、学部卒で就職するデメリットには、以下の2点が挙げられます。

  • 専門性の求められる職種には応募できないことがある
  • 院卒者よりも給与が低い

研究職など専門性を求められる職種のなかには、学部卒では応募できないものがあるため、応募できる職種が限られる点がデメリットです。大学教員や研究機関の研究員などが大学院で取得できる学位を有していることが条件となる代表的な例です。また、国連やOECD、WTO等といった国際公務員の募集においては、専門領域に則した修士号以上の高い学歴が求められます。

また、学部卒者は院卒者よりも働ける期間は長いものの、前述の通り年収に大きな違いがあるため、自ずと生涯賃金にも違いが出ることが予測できます。

おすすめの人の特徴

これらのメリット・デメリットから、学部卒として就職することがおすすめの人の特徴は、以下の通りです。

  • 早く実務経験を積み、昇進を目指したい人
  • ポテンシャルに自信がある人
  • 大学院の進学費用という経済的負担を避けたい人

大学院での研究よりも実務経験を積みたいと考える方や、成長意欲や柔軟性などポテンシャルに自信がある方は、学部卒での就職がおすすめです。また、大学院への進学には高額な費用がかかるため、特定の分野について研究したいという明確かつ高い意欲がない場合は、学部卒での就職を選ぶとよいでしょう。

大学院卒と学部卒はどちらがいいのか

大学を卒業後の進路として、大学院への進学と就職、どちらを選ぼうか悩んでいる方も多いでしょう。

大学院卒・学部卒にはそれぞれメリット・デメリットがあり、一概にどちらが優れているとは断言できません。それぞれのメリット・デメリットを考慮して自分に合った進路を決めることが重要です。

https://graduate.chuo-u.ac.jp/media/index.php/2023/11/29/graduate-school-enter/

まとめ:研究職に興味があるなら大学院への進学がおすすめ

大学院卒と学部卒には、生涯賃金や就活で企業から求められることなど、さまざまな違いがあります。そのなかでも特に、研究職を目指す場合は、大学院を修了していることが求められるため、院卒であることが重要です。

研究職は、1つの専門分野を突き詰め新たな発見を得る職業であり、高い専門性が求められます。研究職の求人では、修士課程や博士課程の修了(修士号や博士号を有していること)を応募条件に設定している企業・団体が多いため、将来研究職に就きたい、もしくは、研究職に興味がある方は、大学院への進学がおすすめです。

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