大学院進学

修士課程と博士課程の違いを6つの観点から解説

大学院は、修士課程(博士前期課程)と博士課程(博士後期課程)に分かれており、それぞれに大きな違いがあります。本記事では、修士課程と博士課程の違い6点と、進学を検討する際に考慮したいポイントを解説します。

修士課程と博士課程の概要

ここでは修士課程と博士課程の概要を紹介します。違いについては次の見出しで詳しく紹介します。

修士課程とは

修士課程は、学部を卒業した後に進学する課程です。区分制の博士課程の場合は、博士前期課程が修士課程に相当します。修士課程では、高度な研究力や専門知識を身につけられ、修了時に「修士」の学位が授与されます。

博士課程とは

修士課程を修了した人が進むのが博士課程です。区分制の博士課程での博士後期課程に相当します。いずれも修了すると「博士」の学位が取得できます。博士課程では、修士課程よりさらに高度な専門知識や研究力を身につけ、自立して研究活動を行うことを目的としています。

なお、学部卒業後に入学できる5年一貫の博士課程もあります。

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修士課程と博士課程の違い

修士課程と博士課程の一般的な違いは、以下の通りです。

修士課程(博士前期課程) 博士課程(博士後期課程)
目的 専門知識の習得

研究能力の向上

新たな知見の創造

高度な研究能力の獲得

取得できる学位 修士号 博士号
学習・研究内容 専門知識や研究手法の修得、修士論文の執筆・発表など 独自の研究プロジェクトの計画・実施、論文の執筆・発表など
標準修業年限 2年 3年
入学に必要な学位 学士号 修士号
キャリアパス・就職先 ・一般企業や官公庁などの公的機関への就職

・研究職

・博士課程への進学

・一般企業や官公庁などの公的機関への就職

・研究職

・大学教員などの教育・研究者

参考:修士課程・博士課程の関係について:文部科学省

なお、大学や研究科によって細かい要件やカリキュラムは異なる場合があります。具体的なプログラムや大学の情報を確認することで、より細かい違いを理解できるでしょう。

ここからは、各項目の違いを詳しく解説します。

目的

一般的に修士課程は、特定の学術領域における高度な知識と専門的なスキルを習得することを目指しています。具体的には、特定の専門分野の理解を深め、関連する研究手法や技術を学びます。

一方の博士課程は、修士課程よりもさらに高度な学問的スキルや専門知識を獲得し、独自の研究プロジェクトに取り組むことを目的としています。高度な研究能力や独創性を養い、自分の研究分野で新たな知見や貢献を生み出すことを目指します。

単に既存の知識を深めることにとどまらず、新たな知見を論文等の研究成果として公表し、特定の研究分野の発展に貢献することが求められます。

学位

修士課程修了時には、修士号が授与されます。修士号は、学生が特定の学術領域で高度な知識や研究能力を習得したことを証明する学位です。専門的なキャリアの追求や学術研究の基礎を築くために重要な資格となります。

博士課程修了時には、博士号が授与されます。博士号は学生の高度な研究能力を示す学位です。博士号は、新規性のある独自の研究を行い、その分野において新たな知識や貢献を生み出したことの証明となります。

学習・研究内容

修士課程では、専門分野の知識とスキルの習得、一定の研究スキルの獲得を目指して取り組みます。具体的な内容は以下の通りです。

専門分野の理論や概念の習得
関連する研究手法や技術の習得
先行研究、学術論文の分析や評価
研究の設計や実施
修士論文の執筆と発表

修士課程は、専門分野における知識やスキルを磨くための実践的な授業が行われます。学部レベルの基礎知識をベースに、専門領域のさらなる専門化を図ります。授業は、教員が知識や理論を講義する形式もあれば、学生同士でのディスカッションやグループワーク、共同研究などの演習も行うこともあります。

博士課程では、独自の課題を設定して研究プロジェクトに取り組み、独創的な研究成果を生み出すための高度な研究能力を養います。具体的な学習・研究内容は、以下の通りです。

  • 専門分野の最先端の知識や理論の習得
  • 研究方法や実験技術の習得
  • 研究結果の分析や解釈
  • 学術論文の執筆と発表
  • 学術会議での発表や討論
  • 博士論文の執筆と公表

博士課程の学生は、基本的に独自の研究に注力します。授業では、研究活動を行うための方法論や専門知識の提供、研究発表やディスカッションなどが行われます。講義形式の授業よりもセミナーや研究会形式の授業、個別の研究指導が多いです。また、国内外の学会や研究機関での発表や交流に参加することもあります。

期間

一般的に、修了に必要な在学期間(標準修業年限)は、修士課程は2年、博士課程は3年です。しかし、大学や研究科によっては、これより短い在学期間で修了できる制度を設けているケースもあります。

なお、医学部・歯学部・薬学部などは、学部が6年制、博士課程が4年制となります。そのため、卒業時に取得する学士号が修士号に相当し、その後大学院に進む場合には、4年制の博士課程となります。

進学に必要な学歴

一般的には、修士課程に進学するためには学士号(学士課程の学位)が、博士課程に進学するためには修士号が必要です。

参考:修士課程・博士課程(前期)の入学資格について:文部科学省

キャリアパス・就職先

修士課程修了後は、企業や研究機関、自治体、政府機関、非営利組織に就職し専門性を活かして働くことができます。また、修士課程修了後に博士課程に進学することも選択肢の1つです。

博士課程修了後は、官民の研究機関、大学などで、高度な専門性を活かせるキャリアパスが拓けます。大学や研究機関の教員・研究者、産業界や政府機関におけるより専門性が求められるポジションに就くことが可能です。

大学教員をはじめとする研究職に就くには、博士号を求められることが多いです。また、国際機関に活躍の場を求める人にとっても、学位取得の必要性は高いでしょう。

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修士課程や博士課程への進学は就職で評価されるのか

修士課程や博士課程への進学は、就職で評価される可能性が高いです。

修士課程や博士課程では、特定の専門分野において高度な知識とスキルを習得する機会があります。これは、専門職や研究職を目指す際に役立つでしょう。

特に博士課程では、独自の研究プロジェクトに取り組む機会があります。研究経験や学術的な成果(論文発表や学会参加など)は、研究職や大学教員としての就職において重要な要素となり、高く評価される可能性が高いです。また、一般的な職業に就く際も大学院で養った論理的思考力が評価されることがあります。

ただし、一部の職種や業界では、実務経験や実践的なスキルが重視される場合もあります。社会に出て実務経験を積むことを重視する業界の場合、修士課程や博士課程に進学せず、就職するのも選択肢です。

進学を検討する場合は自身のキャリア目標と照らし合わせ、総合的な判断を行うことが重要です。

大学院の修士課程や博士課程に進学するにあたってのポイント

大学院の修士課程や博士課程に進学するにあたって、考慮しておきたいポイントを解説します。

進学する目的を明確にする

進学する前に、なぜ修士課程や博士課程に進学したいのか、自身の目的を明確にすることが重要です。例えば、研究者や専門家としてのキャリアを追求したいのか、特定の業界で高い専門性が求められる職業に就きたいのかなどが挙げられます。自身のキャリア目標と進学の関連性を考えましょう。

修士課程や博士課程は学部より高度な専門知識や研究力が要求されるので、あいまいな目的では進学・修了が困難です。進学の目的を明確にすることで、やりがいをもって学習や研究に打ち込めます。

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学費を考慮しておく

進学する際には、学費や生活費などの費用も考慮する必要があります。修士課程や博士課程は長期間にわたる学習と研究を伴うため、費用はかなりの額になる場合があります。

大学や研究機関によって学費の設定や奨学金制度が異なるため、進学を検討する前に予算を立て、経済的な準備をすることが重要です。また、奨学金や助成金の申請についても事前に調べ、必要な手続きを適切に行うとよいでしょう。学費を考慮することで、進学の負担を軽減し、安心して学業・研究に専念できます。

https://graduate.chuo-u.ac.jp/media/index.php/2023/04/28/graduate-school-tuition/

まとめ:修士課程と博士課程の違いを理解して進学を決めよう

修士課程と博士課程は、目的や取得できる学位の種類、学習・研究内容、キャリアパスなどに違いがあります。それぞれの違いを理解したうえで、進学するかどうかを判断するべきでしょう。また、進学するかどうかを判断する際には、進学の目的や修了後のキャリアを考えることが大切です。

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