受験準備

院試とは?受験時期やスケジュール・研究計画書についてわかりやすく解説

院試(大学院入学試験)は、大学院進学を目指す学生にとって重要な関門です。時間をかけてしっかり準備しなければ、合格することは難しいです。希望の大学院に入学するためにも、受験時期や必要な準備について理解しておきましょう。

この記事では、院試の概要や受験時期、求められる準備についてわかりやすく解説します。院試に向けて準備する際の参考にしてください。

院試とは

院試とは大学院入学試験のことで、大学院へ入学するために実施される試験のことです。一般的に、筆記試験(筆答試験)と面接(口述試験)で構成されます。

院試の筆記試験は科目数こそ少ないものの、志望する専門分野に関する深い理解が求められるのが特徴です。幅広い教科の基礎知識を問われる大学(学部)入試と比較すると、求められる知識の深さや範囲が大きく異なります。自身の知見が求められることもあるでしょう。

大学院の入学資格

大学院は、大学院への入学を希望する人に広く門戸を開いていますが、基本的に大学を卒業し学士学位を有していることが入学資格となります。

文部科学省では大学院入学の資格として、以下のいずれかを満たす場合に入学できると定めています。学士学位を有していない場合でも、個別の入学資格審査により入学資格を得られる場合はありますが、そのためには自身の専門分野に関する高い業績や実績が必要となります。

個別の入学資格審査への申請を検討している方は、早い段階で、進学を希望する大学院に問い合わせましょう。

  1. 大学を卒業した人
  2. 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を取得した人
  3. 外国において、学校教育における16年の課程を修了した人
  4. 外国の学校が行う通信教育を日本で修了した人
  5. 日本にある外国の大学相当として指定された外国の学校の課程を修了した人
  6. 外国の大学等の課程を修了し、学士の学位に相当する学位を取得した人
  7. 指定された専修学校の専門課程を修了した人
  8. 旧制学校等を修了した人
  9. 防衛大学校、海上保安大学校、気象大学校など、各省大学校を修了した人
  10. 大学院において個別の入学資格審査により認めた22歳以上の人

参考:文部科学省|修士課程・博士課程(前期)の入学資格について

以下の記事では、大学院の入学資格や受験資格についてより詳しく解説しています。
大学院の入学資格を解説!入学資格審査や入試方法別の受験資格など

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院試の主な種類

院試にはさまざまな入試方式があります。以下に、主な方式をまとめています。

受験方式 概要
一般入試 大学を卒業した人、あるいは卒業見込みの人が受験できるもっともスタンダードな入試方式。在籍した学部と異なる大学の大学院を受験する場合は、本方式を利用することが多い
特別選考入試 基本的に同じ大学の大学院に内部進学する際に利用する。成績の要件が課されることが多く、一定の成績を納めていないと受験資格が得られないことが多い
社会人入試 大学卒業後、仕事をしながら勉強をしている、あるいはこれまでに職務経験のある人を対象にした入試方式。大学院によっては、職務経験の年数や職種など、社会人経験に関する要件を課していることがある

院試の受験時期

院試は主に秋季(8〜11月頃)または春季(1〜2月頃)に実施され、どちらか一方の時期にしか実施していないこともあれば、両方の時期に実施していることもあります。大学院や研究科によって異なるため、事前によく確認しておきましょう。

試験時期は、入試方式によって異なります。試験時期によって準備を始めるかどうか変わってくるため、自分の受験する方式の試験日について把握しておくことが重要です。

例えば、中央大学大学院の場合、以下のような試験日程となっています。

受験方式 試験日
一般入試(秋季試験) 9月〜10月
一般入試(春季試験) 1月〜2月
特別選考入試 4月、9月〜10月、1月~2月
社会人特別入試 9月〜10月、1月〜2月
自己推薦入学試験 (※理工学研究科) 7月と2月

参考:中央大学大学院 |2025年度大学院入学試験日程

以下の記事では、大学院受験の時期やスケジュールについてよりくわしく解説しています。
大学院入試の時期は?受験までの対策スケジュール・やるべきことを解説

院試は何校まで受けられる?

大学院入試では併願が可能で、受験できる数に制限はありません。試験日程が重ならなければ、国公立・私立を問わず複数の大学院を受験できます。

大学院の試験会場には独特の緊張感があるため、その雰囲気にのまれて本番で実力を発揮できないことがあります。第一志望の大学院を受験する前に他の大学院の入試を経験しておくと、第一志望の院試に、落ち着いて臨めるでしょう。また、院試に1つも受からないという事態を避けやすい点も、併願のメリットと言えます。

ただし、受験する大学院を増やせばよいということではありません。院試は、多くても3校程度にとどめることがおすすめです。併願先が増えれば増えるほど、準備にかかる時間も受験費用も多く必要です。

大学院入試への出願には、後述のように多くの準備が必要です。受験校が多いと第一志望の準備に十分に手が回らなくなる可能性があるため、受験先を増やしすぎないように注意が必要です。

以下の記事では、併願先の選び方や注意点についてよりくわしく解説しています。
大学院は併願できる?メリットや併願時のポイント・注意点を解説!

院試を受けるための準備

院試を受けるために、具体的にどのような準備をすればよいのかわからないという方もいることでしょう。ここでは、院試を受けるための準備について、わかりやすく解説します。

院試の勉強を始める時期の目安

院試にはさまざまな準備が必要となるため、受験の1年前から準備を始めるのがおすすめです。例えば、大学4年生の9月に院試を受ける場合、3年生の9月あたりから準備を始めるといいでしょう。

具体的には、以下のような準備を行います。

  • 受験する大学院・研究科・専攻の決定
  • 教員訪問(研究室訪問)
  • 説明会参加
  • 受験する大学院の過去問入手
  • 研究計画書などの出願書類の準備
  • 筆答試験の準備
  • 面接(口述試験)の準備

まず、受験する大学院や研究科、専攻の情報を収集し、受験先を決めます。この段階では、入学後に希望する研究テーマや研究方法が、ある程度明確にしておくことが必要です。

受験する大学院を決める際には、大学院の設備や研究環境はもちろん、自身が入学後に希望する研究テーマを指導できる教員がいるかどうかが重要です。各大学の研究者情報データベースや教員紹介を参考に、自身が指導を受けたい教員(その教員が在籍している大学院)を探しておきましょう。

受験先が決まったら過去問を入手して、筆答試験と面接準備を始めていきます。専門書を読み、専門知識を深めることも重要です。

以下の記事では、院試の準備についてくわしく解説しています。
大学院入試の勉強はいつから始める?対策やポイントを6つ紹介

院試で提出する研究計画書の書き方

大学院を受験する際には、研究計画書の提出を求められることが多いです。研究計画書は、自分の研究内容や目的、ビジョンなどについてまとめたものです。自身が掲げる課題やテーマ設定に説得力を持たせるためには、その分野の先行研究についてよく調べておくことも重要となります。

研究内容を教員にわかりやすく伝えるために、研究計画書の主な流れについて理解しておきましょう。

構成 概要
1 研究テーマ 一目でどのような研究についてまとめられたものか把握できるように、「〇〇における△△の研究」のようなタイトルをつける
2 研究の背景や目的 自身の研究にどのような意義があるのかを明確に伝えるために、研究を行うに至った背景や目的について記載する。論文や専門書を引用し、根拠や妥当性を示すことが有効。先行研究にも触れておこう
3 研究の内容 研究を通して何を明らかにするのか、についてわかりやすく記載する
4 研究の方法 適切な方法で研究を行うことを示すために、何を対象に研究を行い、どのような方法でデータを収集・分析するのか、について記載する
5 期待される効果 自身の研究を通してどのような効果が期待されるのか、社会にどのような影響をもたらすのかについて記載する
6 参考文献 研究計画書を作成する際に参考にした論文や専門書について記載する。参考文献の記載漏れがあると、研究の根拠となる理論やデータの妥当性が失われるだけではなく、剽窃を疑われる恐れもあるため、提出前に漏れがないかを確認しよう

研究計画書は、自身の研究分野を専門としない教員が読む可能性もあります。誰が見ても理解できるよう、専門用語にはできるだけ説明を補足し、研究計画書内の定義を明確にしておきましょう。研究計画書を作成後、第三者に実際に読んでもらい、わかりやすい内容となっているか、誤字はないか、確認してもらうことがおすすめです。

以下の記事では、研究計画書についてより詳しく解説しています。研究計画書を作成する際の参考にしてください。
大学院進学に必要な研究計画書に記載すべき項目とポイントを解説

院試の面接で聞かれる質問

院試の面接の所要時間は30分程度で、複数の面接官が1人の受験生を審査する形式が一般的です。志望動機や研究計画について質問されるため、スムーズに答えられるよう、模擬面接で受け答えを練習しておきましょう。

院試の面接では、主に以下に関して質問されます。

  • 自己紹介
  • この大学院を選んだ理由
  • 入学後の研究計画
  • 卒業論文(卒業研究)の内容
  • 大学院修了後の進路
  • 研究テーマに対する専門知識

面接で納得の得られる回答をするためには、自己分析をしっかりと行っておくことが重要です。過去を振り返り、自分の性格や強み・弱み、価値観などについて、理解しておきましょう。

以下の記事では、面接で聞かれる質問内容や準備についてくわしく解説しています。
大学院入試の面接で聞かれる質問は?評価されるポイントや事前対策を徹底解説

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院試の出願に際して送付するメールのタイミング

大学院へ出願する際には、事前に、指導を希望する教員に連絡を取ることが一般的です。公開されているメールアドレスや問い合わせフォームを通じて、志願者から直接メールを送ります。具体的には、以下のタイミングでメールを送付します。

  • 指導希望の挨拶・研究希望テーマでの指導の可否の確認
  • 教員訪問(研究室訪問)のアポイント取得
  • 教員から受け取ったメールへの返信

出願までに指導希望教員について決めておく必要があるため、事前に挨拶も兼ねて、希望する研究テーマについて指導してもらえないか、メールで問い合わせましょう。また、いきなり研究室を訪問すると失礼にあたるため、事前にメールでアポイントを取ったうえで訪問することも重要です。

大学院へ出願する2〜3ヶ月前には、教員訪問まで済ませておくことが望ましいです。そのため、挨拶も兼ねた最初のメールは出願の3〜4ヶ月前までに送りましょう。

ただし、大学院によっては事前連絡に制限を設けている場合があります。教員への連絡については、受験を希望する大学院が公開している案内をよく確認しましょう。

以下の記事では、院試の出願に際して送付するメールの文面例や注意点について説明しています。メール作成時の参考にしてください。
大学院出願時にメールを送るべき?メールのマナーと文面例

まとめ:院試の準備は計画的に行おう

大学院に入学するためには、院試に合格する必要があります。受験する大学院・研究科・専攻の決定や教員訪問、受験する大学院の過去問、研究計画書などの出願書類の準備など、やらなければならないことは多いため、計画的に準備して、合格を目指しましょう。

院試は主に秋季(8〜11月頃)または春季(1〜2月頃)に実施され、特に秋季に実施されることが多いです。準備に十分な時間を確保するため、受験の1年前から準備に取りかかることがおすすめです。

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